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代表・松野が聴く!生産者・石井さん 後編 – 有機農家の適性と嫁問題 –

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代表・松野が聴く!生産者・石井さん 後編 – 有機農家の適性と嫁問題 –

代表・松野が聴く!生産者・石井さん 後編 – 有機農家の適性と嫁問題 –

有機農業の生産者との対談企画・第3弾、石井慎也さんの後編です。

前編 では、新規就農からの販路の確保、条件の悪い土地への対応に有効な体験談と、オーガニック野菜の適性価格の考え方を伺いました。

後編では、有機農家には向いている性格、考え方に続いて、「農家の嫁問題」を考えます。
若くして有機の生産者を目指す方には、必見の内容です!

最後に少し、石井さんのお野菜を使った素敵な料理もご紹介します。

聞き手は引き続き、弊社代表の松野です。

【石井】石井さん
【松野】弊社松野


ロジカル + 神頼みの変わった職業

【松野】農業にはどういう人が向いていると思いますか?

【石井】そうですね…真面目すぎる人は向いてないんじゃないですか。

【松野】なるほど、真面目すぎる人が向かない仕事ってありますね。「楽したいなー」とか、そういうことから道具作ってみるとか、工夫って生まれるわけでしょ。

【石井】だから俺は、楽したいです(笑) どうやったら楽できるかなって、効率的にできるかなって、いろいろ機械入れてみたりするわけです。
真面目すぎる人って、習ったことを一所懸命にやって、逆にそれしかできなかったりするんです。
それに「自分がこれだけ努力したんだから、作物がこれだけ出来るに違いない」って気持ちになっちゃうのもダメですよね。

【松野】あー、なるほどー!

【石井】出来ない方が当たり前と思っていれば、出来てくれてありがとうっていう感謝が生まれます。でも、自分がこういう突っかかってやっていった中で、出来ませんでしたってなるともう、その人は自信なくして落ちちゃうんですよ。

【松野】確かに「出来なくて当たり前」みたいなところは、ちょっと他の仕事と違うところかもしれませんね。

【石井】特に、有機栽培だと多いんですよ。あれ?例年だと大丈夫なのに、なぜか今年は虫がたくさん出ちゃった、とか。そういう中でも、やっていかなきゃいけないんで、駄目な時でもサッサと切り替えて、次どうしたら防げるかって考えられる人じゃないと、厳しいかなって思います。

【松野】確かに確かに。

【石井】で、そんなこと言ってる割に、頭の中とか机の上では、理系のように、全部びっちり物事を計画してるんですよ。いつ何をどうする、どんだけの面積に何センチの幅で植え付ける、だから苗が何本必要だ、って全部計算が出来なければ畑は出来ないですから。
そこもちゃんとやれて、でもかつ、やっぱり駄目だった時でも前向きにいけるような、っていうぐらいの(笑)

【松野】工場みたいに、理屈でこうやってこうやったら、だいたいこう出来ますよね、じゃないですもんね。すごい論理的にやらなきゃいけない部分と、どっかで何かこう神頼みじゃないけど、そういうとこありますよね。変な職業ですよね(笑)

【石井】変な職業ですね(笑)

仲間を増やせば経験値も増える

【松野】その上、それぞれの作物が、試せるのが1年に1回だけですよね。いくら自分が頑張っても、枝豆作りは5年で5回以上はできない。なかなか経験値が貯まらなくて大変だなって思います。

【石井】そうなんです。でもそこは、仲間がいる人は有利ですね。1人だと1年1回ですけど、10人寄れば1年で10回分の話が集まります。

【松野】なるほど!それは良いですね!

【石井】いろんな組織に入ってって、慣行の人だろうが有機の人だろうが、交流が持てる人のほうが、上達が早いと思います。
自分も慣行の人から話を聞きますし、慣行のキュウリ農家さんのハウスを見学して、あ、涼しいのにもう換気してるんだ、やっぱり蒸れないようにするべきなんだな、って盗むっていうか勉強するっていうか。そこは有機とか慣行とか関係ない部分ですし。

【松野】なるほどなるほど。

【石井】今年の天気では、直播きしたトウモロコシの発芽率が悪いとか、色んな人に聞いても、うちも悪い、うちも悪い、とか。でもよく聞いてると、気候的にこの辺が違ってて悪かったよね、とか、早いうちは良かったけど途中悪かったよね、とか、出てくるんですよね。そうすると、何が原因かっていうのがつかみやすいんです。慣行の人もやっぱり駄目だったのか、そしたらやっぱり気候かな、とか。
上手くすれば、1年でわかるんですよね。

【松野】なるほどなるほど。

【石井】そういう、いろんな経験を集められるのはプラスに働くので、交流ってすごい大事だと思います。

【松野】それは農協に属してたっていうのが関係してますか?

【石井】そうですね。農協の青年部があるんで、そこに行くと若手の農家さんがいて、一緒に話しできます。露地の生産者もいれば、ハウスの生産者もいて、慣行もいれば、有機もいて。そういう中で揉まれてくと、上達は早くなりやすいと思います。

農家は総合職

【松野】計画は理系っぽく論理的に、という話がありましたが、石井さんの学生時代は理系、文系とか、得意だった科目とかありますか?

【石井】勉強はあんまり好きじゃなかったですね(笑)
学生の時は理系を選択していました。

【松野】でも今は、農業のために勉強しなきゃいけないことがあるでしょ?それは苦にならないですか?

【石井】大丈夫です。楽しいことは勉強出来ますね。学生の時に地学があったんですよ。3人しか受講してなくて、寝られない環境だったのもあるんですが(笑)
興味があったので、勉強できましたね。

【松野】地学は、けっこう農業に活きるんじゃないですか?

【石井】活きますね、天気図読んだりとか、この辺の地質はどうとか、川の流れから土壌がなってるとか。
でも今になって思うと、化学も生物も、理系は全部必要なのかな。

【松野】肥料の3要素、窒素・リン酸・カリ、とか、メンデルの遺伝の法則とか、実は中学高校で習ってるんだよね。

【石井】農業をやっていると、土の中で何が起きてるとか、酵素がどうとか、細胞壁だとか、そういう話が多いので生物とか化学も基礎は押さえときゃよかったなって思います。全部が繋がってくる仕事です。

新規就農者に目指してほしいこと

【松野】有機農家に限らない話かも知れませんが、まぁ有機農家で、このくらいあれば家族も食わせられるな、っていうのは、売上でどのくらいだと思いますか?

【石井】難しいですね。500万の売上でも、1,000万の売上でも、経費をいくらかけるかでかなり変わっちゃうので、そうなると、最終的に幾らあれば生活できますか?っていう話だと思います。300万必要ですか?いや200万でも平気だよってあると思います。じゃ、200万の残し方を考えましょう、って逆算になると思います。
農業って、けっこう逆算が多くて、いつに作物を採りたい?じゃいつに植える?じゃあいつに種蒔く?いつ種を買う?で、スタートっていうことが多いんですよね。

【松野】はいはい、そうですね。

【石井】200万残したい、じゃ売上を幾らあれば200残せますか?経費がいくらかかりますか?じゃいくつ作んなきゃいけないですか?それは先に設定した経費で作れますか?って、そういう計算になると思うんですよね。すっごく難しいし、しかも計算通りいかないですからね。

【松野】でもそこは、まず机上の空論でもいいから、書かないといけないですよね。

【石井】そうですね。まず計画が書けて、それに向かって実行できるかどうかが大事ですね。
自分が学生の時に、種ってどれくらい必要なんですか?って先生に質問したら、計算しろって言われたんですよね。何cm間隔に蒔くとか、どれくらい間引くとか、畑が何mあるとか、ざっくり計算はできるんですよ。それで「1デシリットルあたり何粒入り」って売ってる種を買う量を決める。それが出来なければ、とりあえず種買ってきてみたらすげー余っちゃったとか、全然足りなかったとか、なるんですよね。
計算もできないやつが畑でできるわけがない、って言われました。

【松野】確かに。

【石井】その上で、机上の計算と、現場の結果が合うように、追いつけるようにしていければいいと思います。でもほんとに難しいところですね。特に多品目になると大変です。

【松野】その辺の計画って、書いてますか?

【石井】年間栽培計画は、いちおう書きます。年間通して、出荷するものを切らさないように、収穫時期をグラフで書くんですけど、隙間があると何で埋めようとか、そうするとある野菜の植付けと別の野菜の収穫時期が重なって駄目だなとか、もういつも頭ん中、ぐちゃぐちゃですけど(笑)

【松野】でも書かないと、回らないですよね。

【石井】そうですね。1品目専業の農家だと楽だろうなーと思うこともありますよ。
ただ異常気象で全滅とか、ありうるので、やっぱり分散は必要ですね。

【松野】そうですよね。やっぱり幾つか、1つがコケても、8割ぐらいの収入は確保できるか、ぐらいにしておく方がいいですね。

【石井】異常気象で全然取れないとか、ありうる話だし、そういう時にどうするか、考えておくことは必要ですね。

【松野】そういう覚悟は決めておけということですね。

【石井】そのためには、柔軟に方向転換もできるように、間口は広ければ広い方がいいと思います。

「農家の嫁問題」への提案

【松野】世間では「農家の嫁問題」ということも聞きますが、石井さんは若くして結婚して、子宝にも恵まれてますよね。周りの同世代の人って、どうしてますか?

【石井】出会いは普通に合コンとかですかね。あとは婚活イベントをやったりしてます。

【松野】実感としてどうですか?農家さんってモテますか?

【石井】興味を持ってる女性はけっこういらっしゃいます。ただ、奥さんになるイコール農家をやんなきゃいけないって思って、二の足を踏む人が多いんです。

【松野】朝から晩まで働かされるっていう、イメージありますね。

【石井】それを、まず無しにして、オレはオレで農業やるし、あなたは好きな仕事をやってくださいよ、ってぐらいがいいですね。

【松野】実際にそれは出来ますか?

【石井】奥さんを最初から労働力として、当てにしていなければ出来ます。

【松野】そこはパートさんを入れるとか、それでも成り立つような経営にしておくってことですね。

【石井】そうですそうです。

【松野】で、共働きだったとしても、自由な仕事を選んでいいんだよと。その上で、嫁さんが「農業やりたいんです」っていうことだったら

【石井】それはもう、どうぞどうぞと。
昨年婚活の実行委員をやったんですけど、女子がガッツリ農業やりたい人とかって割といるんですよね。で、それに、男がビビッて退いちゃうってパターンが。

【全員】(爆笑)

【石井】だらしねーな、やってくれるっつうんだからやってもらいなよ、みたいな(笑)

【松野】でも、そういう人もいるんですね。

【石井】いますね。一昔前と比べれば、農業に対する「辛い、大変」っていうイメージも、薄れてきている感はありますね。

【松野】もうちょっと、農家自体のイメージを上げたいよね。いわゆる、あこがれの職業じゃないけど、ちょっとカッコいい職業。
天気も読めなきゃいけないし、色んなことがトータルで出来ないと務まらないですよ、みたいな。金融とか横文字の職業もいいんだけど、実際にちゃんとした物を作り出す仕事も大事っていう風潮になってほしいです。

【石井】でも自分の中では、カッコイイかカッコワルイかよりも、いかに安定して稼げるかが優先かなって思います。
結局みんなが公務員を選ぶ。公務員が特にカッコイイかと言えば、そうでもないですよね。でも、給料は最初低いって文句いいながらも、ずーっと辞めません。一番の安定感のある仕事だから、みんな先生や役場の職員やるわけですよ。

【松野】なるほど。

【石井】農業は安定してないから、って言われちゃうんですね。
それが、安定して稼げて、この家は財力があるよっていう話になってくると、農家に向かってくる人も増えると思います。

【松野】確かに。そうですね。

【石井】さっき話した(編者注:前編 有機野菜の適正価格を考えるみたいに、売り方も色々ありますので、安定する稼ぎ方もできるんです。
ただ、お金だけに特化してやってると仕事はつまんなくなっちゃいます。病気を治す医者って、すごい憧れの的になってますが、その医者も患者も、身体を作っている元は農家の食材ですよ、ってなると、人の命を作る仕事ですから、そういう誇りも持ってます。それで、人のためになって、安定して稼げれば、こんないい仕事は無いと思うんです。

【松野】素晴らしい!そういう話をちゃんと、みんなが語れれば、嫁も来るよね。

【石井】農家が大変だねって言われた時でも、何をもって「大変」って言うかは人それぞれなんですよね。寒いだろうね、暑いだろうね、とか、雨ん中大変だねって言われても、別に何ら苦ではないです。寒ければ着ればいいし、暑ければ休んで涼しい時間にやればいいし、キャビン(編者注:屋根・窓付きのトラクターの運転席)はエアコン効いてますし、雨だってカッパ着れば問題ないですよね。
それよりも、理不尽に押し付けられたこともやらなきゃいけない、って仕事の人の方が大変だねって思っちゃいます。

【松野】はいはい、サラリーマンですね(笑) しかも満員電車に1時間も2時間も乗って毎日通勤してね。

【石井】会社に行くのに、朝5時とか6時とかに家を出て、8時に始業。でも農家は5時に起きて、すぐ仕事を始められます。通勤まで労働時間と考えたら、実際サラリーマンってすっごい長いですよね。

【松野】そうそう、おっしゃるとおり。

【石井】だから農家が労働時間長いね、大変だねって言われても、そんなことないんです。夜はサラリーマンより早いですからね。暗くなったら終わりっ。一杯飲んで寝ちゃおっ、みたいな(笑)
子供に付き合うことも出来ます。土日に仕事しちゃうこともあるんですが、平日夜は必ず一緒に風呂入るとか、飯食うとか、できますね。朝起きた時はパパが居ないかもしれないけど、朝飯の時間に戻ってくるとか(笑)

【松野】ひと仕事終えてね(笑)

【石井】そこから一緒に朝飯食って、さぁ学校行ってこーい、俺も畑行くぞー、って仕事に戻る。そういう子供との時間との時間も大切に出来るっていうのは、農家の仕事の魅力の一つですよね。

【松野】なるほど~、石井くん、スゴイなぁ!それ全部語って、婚活の人集めとかできるよ。ぜひやってあげて!

生産者交流会をやりましょう

【松野】最後に、マクミノルに対して、こうして欲しいとかありましたら。

【石井】生産者交流会をやりたいです。

【松野】あぁ、いいですね!あと、うちのお客様、飲食店や小売店の方との交流会は、どうですか?

【石井】そういうのもいいですよね。やっぱり最終的に食べてる方々、使ってる方々の声も聞きたいです。
生産者同士の情報交換っていうのも、やりたいです。そういう場があるといいんじゃないかと思います。

【松野】それはいいですね!実現に向けて、前向きに検討します!本当に前向きに(笑)
今日は長い時間ありがとうございました。

【石井】いえいえ、ありがとうございました。


取材日: 2017/06/11

今回の対談は、ここまでです。いかがでしたか?
前編でも、ディープなお話を伺っています。併せてご覧ください!

代表・松野が聴く!生産者・石井さん 前編 - 有機農家の経営と農地の増やし方 -
代表・松野が聴く!生産者・石井さん 前編 - 有機農家の経営と農地の増やし方 -
有機の生産者さんとの対談企画・第3弾は、石井慎也さんです。 埼玉県北部の平野で自然栽培を10年続けている若者です。 新規就農から経営が安定するまでの体験談と、耕作放棄地の再生について伺いました。

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おまけ

石井農園さんの近くにあるイタリアンレストランで、石井さんのお野菜をふんだんに使ったランチをいただきました。
どれも抜群に美味しかったです!

前菜にはバーニャカウダと
白玉ねぎのポタージュ

グリーンサラダには
ピリリとしたルッコラが効いています

小海老と白玉ねぎ、水菜のアーリオオーリオ
白玉ねぎの甘さが引き立ちます

鯛のグリルももちろん美味しいのですが
野菜も負けていません
この季節にしかないヤングコーンは絶品

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