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ビオシェルジュが聴く!料理人・菅原ご夫妻 前編 – 身体を意識しよう –

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ビオシェルジュが聴く!料理人・菅原ご夫妻 前編 – 身体を意識しよう –

ビオシェルジュが聴く!料理人・菅原ご夫妻 前編 – 身体を意識しよう –

オーガニック野菜を使う料理人の方々からも、ディープなお話を伺う企画がスタートします!
お店にこめられた思いから、有機野菜を使う理由、そして使い方のコツなど、お聞きします。

第一弾は、東京・中目黒のカフェ RAINBOW BIRD RENDEZVOUS(レンボーバードランデヴー)の菅原裕之さん、雅代さんご夫妻です。

料理が美味しいのはもちろん、お二人の明るく、暖かいお人柄を反映した店内は、とても居心地の良い空間です。(店舗の様子は 後編 でご紹介)


前後編・2回に分けてお伝えします。

【菅原ひ】菅原裕之さん
【菅原ま】菅原雅世さん


きっかけは、みんなと過ごせる場づくり

― よろしくお願いします。では最初に、お店を始めたきっかけを教えてください。

【菅原ひ】以前は東京・大田市場の輸入フルーツを扱う仲卸業者で働いていました。
若い頃はヨガに興味を持って、実際にインドにも行ってみたりもしました。
それと前後して、環境系のイベント、今でいうアースデイとかアースガーデンとかを見に行ってました。90年代の後半ですね。

それらの影響で環境問題に関心を持って、このままじゃ結構ヤバイな、僕たちが何とかしなきゃいけない世代なのかもしれない、と考えるようになりましたね。
そういう流れの中で、仕事もやりながら、友人たちと環境系のイベントの企画とか運営とかやるようになったんですよ。
そのイベント運営で知り合った仲間から、このお店のご縁をいただいたんです。居抜きの状態で引き継ぎませんか?と。

もう一つの要素が、私の、雅世さんに対する想いなんです。

【菅原ま】話が長い(笑)

【菅原ひ】長いっすよ。でもこの気持ちは話さないといけない!

私と雅世さんは、高校生の頃から交際してるんです。もう大っ好きで四六時中いっしょにいたかった。家や、学校や、職場が別々なのも、寂しくて仕方なかったくらい。
そこにこのお店の話が来て、夫婦でやれば24時間一緒にいれるじゃないか!と。
飲食店の経験はありませんでしたが、思い切って引き受けたんです。

― なるほど。雅世さんはどうでしたか?

【菅原ま】私はそのころセラピストをやってたの。色んなお客さんのセラピーをやっていて、深刻な方だと2時間とか3時間とかガーっと話し込むことも。
でもなんか難しいなと、時間をかければ良くなるってことでもないし、ぽんって背中を叩くと元気になるタイミングってそれぞれあるから、もっとオープンな場所で軽くみんなが自分のストレスっていうものを言えるような環境づくりが社会には必要かなと、なにかのお店をやりたいな、と考えていた時期でした。

もう一つ、自分が肉を食べられないので、外食が面倒くさかったのね。
だったら、自分たちでいいお野菜とか使って、横でセラピーとかもやりつつ、一緒に何かできたらな、って考えてる時に、タイミングよくこのお店の話があったので、始めたっていうのが経緯です。

― 素晴らしいですね!でも僕だったら、できるだけ、奥さんとは仕事で関わりたくない(一同笑)
いや実際は、かなり手伝ってもらって助かってるんですけど。

そうして始めたお店、レインボーバードランデヴーの名前の由来は何でしょう?

【菅原ひ】レインボーはいろいろな価値観を持っている人たちっていうイメージ。ネイティブアメリカンの予言に「虹の戦士」という件があって、いろんな肌の色や価値観の人が集まって世界を救うって話があるの。そういう人たちが集まれる場所のイメージしてます。

バードは、ここの住所が「祐天寺1-1-1」なの。だから、ここからスタート、飛び立つ、っていうイメージで鳥です。

ランデヴーは、フランス語で待ち合わせの意味なのね。宇宙船や人工衛星がドッキングのために同じ軌道に入ることもランデヴーって言うの。僕達もここに来てくれるみんなと一緒に生きたいなと。先生でもないし生徒でもないし、お互いに教えたり教えられたりし合える関係、並走している感じをイメージしている。

だから、オーガニックとかヴィーガンがいいとか、肉が悪い魚が悪いとかって、あんまり書かないようにしています。

ヴィーガンである理由

― お店では素材や調味料にこだわっていらっしゃいますが、食べ物を意識し始めたきっかけは何でしょう?

【菅原ま】若い頃から、食べ物に限らず、モノにこだわって買い物する性分でした。
でもよくわからずに、とりあえずデパートに行って、とにかく高いもの買ってたり。

そんな中で環境系のイベントに行くうちにオーガニックを知ったんですね。
当時から営業してたのが、表参道のナチュラルハーモニーさん、こういうところに行けば自分が欲しいものがいっぱいあるって知って、したらもう水を得た魚ですね。

― ヴィーガンになったきっかけは?

【菅原ま】味が嫌いだったんです。

― あ、もともと動物系が食べられないんですか?

【菅原ま】大っ嫌いだった。味がダメ。

― 単純にそういう理由なんですね。
裕之さんは、どうしてですか?雅世さんに引っ張られる感じでしょうか?

【菅原ひ】僕は子供の頃、動物をいっぱい飼ってたの。金魚からザリガニから、いろいろ飼って、友達だと思ってた。釣りもやって、釣ったのを家で飼ってました。
そうやって飼ってた鯉を、ある時、親父がさばいたんです。
それが嫌で、泣きながら部屋にこもっちゃった。そしたら、男のくせに泣くな、とか、こうやって命をいただいて自分たちは暮らしていけるんだ、とか言われるわけ。
ああそうか、そうしなきゃ僕たちは生きていけないのか、といちおう理解したんですが、今考えると、その時に「動物を殺してかわいそう」という気持ちにフタをしちゃったんだよね。
その後は、普通の食生活をしてたの。

で、90年代の終わりに環境活動とかそういう世界を見てみると、ベジタリアンっていう人がいるんだ、肉とか魚とか食べなくても生きていけるんだ、って知って。
僕らの子供の頃は、そんなの知らなかったから親の言うことを聞いて、って暮らしてたけど、その価値観を知って解放されたっていうか、水を得た魚になりました。

― なるほど。

【菅原ひ】ちょっと視点を変えると、今の世代は、何を食べるか選べるでしょ。
それは僕達の前の世代、もっと前の世代の人たちが死に物狂いで頑張ってきて、今の日本をこういう形にしてくれたからです。
いい面も悪い面もありますが、少なくとも僕達は食べ物を選べる。

だったらこの先のことを考えて、今僕達が食べるもの食べないもの、食べ物に限らず、買うもの買わない物を選択するっていうのも、ライフスタイルの1つなのかなって思います。その中で、菜食っていう生き方もありますよ、って提案しているつもりで、今ではこの店をやっています。

どんな物を選んで買うとか買わないっていうのは、選挙と同じだと思う。どんな未来にしたいか、投票する行為だと。
そのへんの八百屋から仕入れないで、マクミノルさんで買ってるのもそこなの。
マクミノルさんに投票してるの毎週毎週。

― ありがとうございます!

まだまだ足りないベジタリアンの店

― お客様はどうでしょう?お店のコンセプトや考え方に共感して、選んで来てくれる人が多いですか?

【菅原ま】ほとんど、そうですね。

【菅原ひ】目黒川沿いの桜が有名になったので、桜の時期はね、知らないで入ってくる人もいますけど、それ以外は、けっこう調べて来てくれる方が多いですね。

あとは外国の方がほんとに多い。

― 弊社の取引先で、新宿の KiboKoさん っていらっしゃるんですが、そこも外人のお客様が多いんですよ。
まだ日本では「ベジタリアン」とか「ヴィーガン」っていうキーワードで行ける店が少ない。でも彼らにとっては、死活問題じゃないですか。だからちゃんと探して見つけて、って来てもらえるんですけど、そう言う意味で情報発信は大事だと思います。

以前、外資系の企業で働いた時ですが、泊まり込みの研修に参加すると最初に「ベジタリアンの人は?」って聞くんですよね。そしたら普通に何人か手が上がる。そしてその人たちには、ベジーな食事が出てくる。
だから、ベジタリアンが日本に来たら困ってるだろうな、っていうのは、よくわかります。

【菅原ひ】うちはお弁当もやっていて、そういう方々からよく電話かかってきて、配達に行ったりします。
あと、大学の学会みたいなときも海外から先生とか技術者とか呼ぶでしょ。そういう方々とかが困ってたりとか。だから、こんな小さなお店だけど、けっこうあっちこっち行ってるの。

【菅原ま】福利厚生(編者注:昼食時の弁当販売)は2社行ってるよね。
気がつくと1日に50食作ってた、っていう時もあったり。もちろん、前もって注文いただいていれば、100とか200とか作ります。

― このスペースで100とか200とかって、大変じゃないですか!?

【菅原ひ】雅世さんがね、とぼけた顔してるでしょ。でもあれ(編者注:キッチンのカウンター)から向こうに入ったらスゴイ!

【菅原ま】とぼけた顔ってねぇ~(笑)

身体の声を聞くということ

― お店のことをまったく知らずに来たお客様って、反応はどうですか?

【菅原ま】世界一ここの鶏の唐揚げが好きだって言って、通い続けてくれた女性が居らっしゃって…

― あれ?大豆ミートですよね!? あ、でもここの唐揚げは、普通の鶏肉の唐揚げに、かなり近いですよね。美味しいです。

【菅原ま】本当に大好きでいらしたみたいで、嬉しかったんだけど、それいいことなのかな?

― 僕はいいことだと思いますよ。その人の身体が、ちょうど大豆ミートを欲してて、だから余計に美味しく感じたのかもしれません。
そうやって身体の声を聞くというか、意識するのって大事だと思います。

よく養老孟司さんがおっしゃってますけど、都会は脳化社会で、脳みそが先行しちゃうんですよね。だから身体を無視して、無理して仕事するし、過労死もしちゃうし。

ただ女性って、月に1回の生理があるので、そこで身体性を取り戻しますよね。家で奥さんと話ししててもそうなんですけど、すぐ頭痛いって休むし。でもそれって生物としては大事なことですよね。肩凝ったとか言って、揉め、とか、寝る、とか。

【菅原ま】愚痴ってる(笑)

― はい(笑)
でもオフィス街を歩いてると、そこに身体がない感じが、すごくするんですよね。太っているサラリーマンを見ると、アメリカで言うところの”自己コントロールができない”っていうのとはまたちょっと違って、身体をちゃんと意識してないから、脳の欲求の赴くままに「太れる」んだろうなって思います。
脳みそって疲れたら糖分を欲するんですよ。また、油とか塩とかって濃ければ濃いほど美味しかったりするし。

ただ、太れば身体的にはしんどくなるんはずなんですが、その辺が麻痺してるように見えました。そういうのが嫌で、僕は身体をすごく意識するようになったんです。食べ物も玄米から始めてみて、野菜も意識して、そしたら体調が良くなりましたね。

そうすると、こういうのをみんな食べればいいじゃん、って思ったんですよね。それでこの仕事を始めたっていうのがあります。
だから、どうやったら広まるのかな?みんな食事に気を使うようになるのかな?っていうのを意識しています。

プロの料理人だからできること

― それは、冒頭でおっしゃってたように、やたら能書きを書くことじゃないと思うんです。それって脳みそに話しかけることになるので、一回は意識してくれても、ある日コロっと元の生活に戻っちゃうんです。結局「腹落ち」してないっていうか、身体が理解してないので。
なかなか答えの出る話しじゃないですが、どうやったら広まるか、理解してもらえるかって、ずーっと考え続けてます。

現在「業務用」を事業のメインにしている理由の一つは、僕たちが個人の消費者に直接説明するよりも、飲食店の人に伝えてもらうのがいいんじゃないか、と思ったからなんです。やっぱり「美味しい」って感動じゃないですか。それを味わってもらわないと、人って変わらないんじゃないかなって思うんです。

【菅原ま】私達、それと同じことを、いつも考えてた。

― 単に身体にいいよって言われて、食べてマズいっていうことよくあるでしょ。玄米だと炊き方一つとっても難しいので。それで嫌いになっちゃうのは良くない。
プロの料理人が、いい素材に一手間加えてさらに良くなるから感動してくれて、これってなにって興味を持ってくれて、いや実はこうなんだよ、みたいなストーリーを勝手に僕は描いてるんですけど、いやまぁ時間かかりますよね。

【菅原ひ】時間はかかるよね~。


取材日:2017/04/14

後編に「都会を耕すオーガニック」続きます。

ビオシェルジュが聴く!料理人・菅原ご夫妻 後編 - 都会を耕すオーガニック -
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カフェ・レインボーバードランデヴーの菅原ご夫妻との対談企画、後編です。 食事と身体の関係に続き、都会におけるオーガニックのあり方と、将来の夢について語り合います。

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