白菜(ハクサイ) – Veggiepedia

分類:アブラナ科アブラナ属

名称:Chinese cabbage(英)、napa cabbage(英)、chou de Chine(仏)、 白菜(はくさい)(日本)

冬の代表野菜である白菜。キャベツと同じアブラナ科アブラナ属で2年草。白菜は大きくなるにつれて白菜の白い部分が太く大きく成長することから「白菜」と命名されました。貯蔵性が高く、部位によってさまざまな食べ方を楽しめるため、現在はジャガイモ、大根、キャベツなどと並んでとても人気の高い野菜の1つです。

日本の伝統野菜のように思われがちですが、英語名称が「Chinese cabbege」であるように、もともとは中国から渡ってきた野菜。日本へ伝わったのは明治の初め頃なので意外にも日本での歴史は浅いのです。

近年では一年中出回っていますが、白菜の本来の旬はお鍋が恋しくなる冬。10月~2月頃に最も出回り、寒さが厳しくなるに従って肉質も厚みが増し、また甘味も強くなります。

白菜のおもな生産地は、1位が茨城県、2位が長野県、3位が北海道となっており、このうち茨城県と長野県の2県がダントツで全国生産量の半分以上を占めています。春から夏にかけての時期は高原地域など冷涼な地域である長野が、秋から冬にかけての時期は茨城県が主な産地となっています。

白菜は味に強いクセもなく、生ではシャキシャキした食感が楽しめ、煮込めばトロリと柔らかくなることから、鍋料理や漬物はもちろんのこと、炒め物、煮物、蒸し物、サラダにスープなど、さまざまな料理に向いています。

歴史

白菜の原産地は地中海沿岸と言われています。その頃はほとんど栽培はされておらず、また結球していないタイプだったそうです。その後、中央アジアを経由して7世紀頃に中国北部へと伝わったとされています。この頃の白菜はカブとパクチョイ(チンゲン菜の近種で白軸のもの)が自然交雑して生まれたものと考えられています。当時の白菜はあまり結球していないタイプで、品種改良が進められたことにより11世紀頃に現在のような結球した白菜が登場しました。

日本においての白菜の原型は、早生種の「野崎白菜」、中生種の「仙台白菜(松島白菜)」、晩生種の「加賀白菜(金沢大玉結球白菜)」などいくつかあります。

中国から日本に伝わってきたのは1875年(明治8年)。東京博覧会で山東白菜が紹介されたものを愛知県が入手して栽培を試みました。しかし白菜は強い交雑性があり、その性質から栽培している側で別のアブラナ科の植物を栽培をしていると自然交雑して別の形になってしまうため原型維持するのが困難であったと言われています。その後、野崎徳四郎氏が愛知県から種を入手して研究栽培を重ねていき、1895年(明治28年)に日本で初めての結球白菜に成功しました。その後さらに品種改良が進められ、現在「野崎白菜2号」が愛知の伝統野菜として栽培されています。

またそれとは別に、日清戦争・日露戦争に中国へ赴いていた農村出身の兵士たちが、現地で食べた白菜のあまりの美味しさにその種子を持ち帰って栽培が進められたそうです。しかし品種を維持することが難しく栽培にことごとく失敗。そこで、仙台の地で沼倉吉兵衛氏が他のアブラナ科と隔離するために離島で研究栽培し、松島系の白菜が誕生。その後、渡辺頴二氏によってさらに品種改良が重ねられ、現在仙台の伝統野菜として「仙台白菜」が栽培されています。

また、大正に入ってから石川県の松下仁右衛門氏によって栽培されたのが「加賀白菜」です。これは金沢大玉結球白菜とも呼ばれていて、1玉4~6kgにもなる大玉の白菜です。加賀の伝統野菜にはなっていませんが晩生種の白菜としては日本最古と言われています。

種類

白菜には結球しているタイプ、半結球タイプ、結球していないタイプの大きく3つに分類されます。日本では結球しているタイプが主流です。

結球しているタイプ

こちらはさらに「円筒形」と「砲弾形」の2タイプがあります。

「円筒形」は「包被形(ほうひがた)」とも言われ、現在日本で一般的に”白菜”として出回っているもので、大きさは2~4kg程あります。葉先が密に重なり合っていて、芯の部分が肉厚なのが特徴です。外葉は日光に当たって濃い緑色をしていますが、中葉、内葉と内部に向かうに連れて黄緑色から黄色がかっている黄芯型が主流です。春と秋~冬にかけての年に2回収穫されます。


白菜と言えば鍋物や漬物が代表的な料理ですが、水分が多くてみずみずしく、味や香りに独特の強いクセが無い上に優しい甘味があることから、煮物や炒め物、スープやサラダなどの生食など、どんな料理にも適しています。

それに対し「砲弾型」は葉先が尖っていてあまり重なり合っていないタイプで、砲弾のように見えるのが特徴です。大きさ的には円筒形とほぼ同じ2~4kg程度で、秋から冬にかけての年に1回収穫されます。

こちらは漬物用として使用されることが一般的です。

半結球タイプ

「大型山東菜」写真出典:タキイ種苗

半結球タイプに代表されるのが、関東でよく栽培されている「山東菜」。山東菜は「べか菜」とも呼ばれています。山東菜は通常大きく成長する前に収穫されるため結球していません。なお大きく育ててから収穫するものは漬物用として使用されます。

また中央の部分が黄色く色づく山東菜の一種として「花心白菜(かしんはくさい)」というものもあり、こちらも主に関東で栽培されています。
その他に、長崎のお雑煮には欠かせない長崎伝統野菜の「長崎白菜」も半結球タイプです。

結球していないタイプ

「広島菜」や「大阪しろ菜」などがこちらのタイプです。

「広島菜」は、主に広島市安佐南区川内で栽培されている葉野菜で、九州の高菜漬け、信州の野沢菜漬けと並ぶ日本の三大漬け菜の一つです。収穫されたものはほとんど広島菜漬けとして使用されています。色は濃い緑で、シャキシャキした歯ごたえとワサビに似たピリッとした辛味があるのが特徴です。

「大阪しろ菜」写真出典:家庭de菜園(ナント種苗)

「大阪しろ菜」は、江戸時代から大阪で栽培されてきた大阪の伝統野菜で、明治時代には天満橋近辺で盛んに栽培されていたことから「天満菜」とも呼ばれています。山東菜と体菜(タイサイ:チンゲン菜の近種)、または白菜と体菜とをかけ合わせて出来た品種なのではないかと言われています。葉は薄緑色、茎の部分は真っ白な色をしてます。早生種、中生種、晩生種とあるためほぼ通年栽培されていますが、冬の寒い時期の方が葉柄が肉厚になり甘味も増します。シャクシャクした食感でクセもないため、おひたしや煮物、炒め物、和え物などさまざまな料理にも向いています。

その他

ミニ白菜

その名のとおり通常の白菜のミニ版。食べきりサイズに品種改良された白菜です。長さ20~30cm程、重さも1kgに満たない程度です。コンパクトで使いやすいサイズであり、またふんわりと柔らかくて美味しいことから現在人気急上昇中です。また通常の白菜より短い栽培期間で収穫可能なため、生産者的にも人気があります。

幾つかの品種があり「娃々菜(わわさい)」「タイニーシュシュ」辺りが有名ですが、その他にも「黄味小町」「お黄にいり」などがあります。


たけのこ白菜

たけのこ白菜「中国紹菜」写真出典:サカタのタネ

中国野菜の白菜で中国名は「紹菜(シャオツァイ)」または「チヒリハクサイ」。半結球タイプ。サイズは40cm以上と細長く、タケノコのような見た目から「たけのこ白菜」と呼ばれています。一般的な白菜に比べて水分が少なく葉が固いため、煮込んでも荷崩れしにくく甘味があることから、鍋物や煮物、炒め物に向いています。

また、たけのこ白菜を使いやすいように品種改良したミニたけのこ白菜として「プチヒリ」というのががあります。


オレンジ白菜

「オレンジクイン」写真出典:タキイ種苗

外葉は通常の白菜と同じ緑色をしていますが、中葉がオレンジ色をした白菜です。その名は「オレンジクイン」。ヨーロッパ産のカブとの掛け合わせで生まれた品種で、色の元はトマトなどに含まれているリコピンの一種「プロリコピン」によるもの。現在ではミニサイズの「オレンジミニ」という品種もあります。見た目の色鮮やかさだけでなく、通常の白菜に比べてより栄養価が高いことでも注目されています。
さらに白菜特有の青臭さが無く、また甘味が強くて歯ざわりが良いことから生のままサラダにしても美味しくいただけます。その他、その彩りを活かした漬物にも向いています。もちろん、煮ても炒めても美味しくいただけます。

紫白菜

「紫奏子」写真出典:家庭de菜園(ナント種苗)

外葉にやや緑色がありますが、基本的には紫色の葉をした白菜です。名は「紫奏子(むらさきそうし)」。旧名は「紫色舞(むらさきしきぶ)」といいます。鮮やかな紫色は豊富に含まれているアントシアニンによるものです。サイズ的にはミニ白菜サイズ並みの1kg前後程度と小ぶりです。葉は柔らかくて甘味がある上にみずみずしく、また食感も良いことから生のまま食すサラダに向いています。その他、酢を使用した浅漬けなどの漬物もオススメです。
煮物や炒め物などにするとアントシアニンは熱に弱く水に溶け出して色落ちしてしまうため、あまり向いていません。

栄養・食養

白菜は含まれている成分のうちの約95%、つまりほとんどが水分なのでとても低カロリーな野菜です。実際のカロリーは100gあたり14kcalしかありません。このため栄養価は低いと思われがちですが、微量ながらビタミンやミネラルなどいろいろな栄養素がバランス良く含まれていて、精進料理の世界では大根や豆腐とともに「冬の養生三宝」と言われ、欠かせない食材なのです。

白菜に含まれる栄養素の代表的なものとしては、ビタミンC、カリウム、カルシウム、イソチオシアネート。さらにオレンジ白菜にはプロリコピン、紫白菜にはアントシアニンがあります。

抗酸化作用が高いビタミンC

白菜に多く含まれている栄養素の一つがビタミンC。特に外葉に多く含まれています。その含有量は実はトマトやにんじんより多く、100g当たりトマト15mg、にんじん6mgなのに対し、なんと白菜は19mgも含まれています。

ビタミンCの働きはたくさんあり、代表的なものとしては活性酸素を抑えて身体の酸化を防ぐこと。これにより動脈硬化や脳梗塞、心筋梗塞などの病気の予防につながります。また疲労回復作用やストレスへの抵抗力を高めてくれたり、コラーゲンの合成促進によりみずみずしい美肌を保つ効果もあります。

ただしビタミンCの性質は水溶性なので、水に溶けやすく熱に弱いのが特徴です。このため、なるべく火を入れずまた長時間水に漬け込まず、できる限り生のままで食べることがオススメです。

利尿効果の高いカリウム

白菜はカリウムの含有量も多いのです。カリウムの多い野菜の代表キュウリや比較対象にされやすいキャベツよりも多く100g当たりの含有量はキャベツ200mg、キュウリ200mg、それに対して白菜は220mg。そのカリウムは葉よりも芯の部分に多く含まれています。

カリウムの主な性質には、体内にたまった余剰な水分やナトリウムを排出して血圧を抑制する作用や利尿作用などがあり、上がり過ぎた血圧の低下や、むくみの解消に効果的です。

ただし、カリウムは水溶性なので煮ると水に溶け出してしまうため、スープにするなど煮汁も残さず食べることをおすすめします。

オレンジ白菜に含まれるプロリコピン

オレンジ白菜は「プロリコピン」が含まれていることから鮮やかなオレンジ色をしています。「シスリコピン」とも呼ばれていて、一般的な白菜には含まれていないオレンジ白菜特有の成分です。プロリコピンはカロテノイドの一種でリコピンと同様の働きがあります。

主な作用としては、抗酸化作用が高いことから動脈硬化や心筋梗塞などといったさまざまな生活習慣病の予防、アンチエイジング、肥満予防、美肌効果など。さらに、通常のリコピンは体内に吸収されにくい性質なのに対しプロリコピンは体内吸収が良いため、リコピンよりも体内での利用効率が高いのです。

なお、プロリコピンは通常のリコピンと同様に脂溶性のため、質の良い油と一緒に摂取すると吸収率がさらにアップします。

紫白菜に含まれるアントシアニン

紫白菜の紫色の源は「アントシアニン」によるものです。そしてこのアントシアニンは白菜の中でも紫白菜にしか含まれていません。

アントシアニンは通常、ブルーベリーやカシス、ナス、紫キャベツなどといった紫色の果実や野菜に含まれている成分で、眼精疲労の予防や改善、白内障や緑内障などの予防といった眼に関連する効果があることは有名ですが、その他にも非常に抗酸化作用が高いことから、動脈硬化や心筋梗塞、癌などといった生活習慣病の予防やアンチエイジング効果、内臓脂肪の蓄積を抑制してくれることからメタボリックシンドロームの予防などにも効果的です。

白菜あれこれ

白菜の黒い斑点の正体は?

たまに白菜の白い軸のところに黒いブツブツが出来ていることがあります。あまリ見た目に美しくはないのですが、これはカビでも虫でも汚れでもなく、白菜のもつポリフェノールが酸素と反応して出来た色素です。多いものになるとまるでゴマをふったように見えるため「ゴマ症」と呼ばれています。

ゴマ症の正確な原因は未だわかっていないそうですが、主に栽培する過程で生じたストレスが原因で発生する白菜自体の生理現象と言われています。つまり、肥料の与えすぎや密集した状態での栽培、極度な温度(高温過ぎる、低温過ぎる)、収穫時期の遅れなどといったことが原因で白菜がストレスを感じて発生する症状なのです。
気にせずに食べても特に問題はありません。

冬の白菜が美味しいわけ

白菜に限った話ではなく、大根やにんじんなど冬が旬と言われる野菜全般に共通していることなのですが…

冬の寒い時期、白菜は霜が当たると寒さから身を守り自身が凍るのを防ぐために、水分を減らし、デンプン質をブドウ糖に変えることから甘みが増すのです。また霜に当たることで白菜の繊維が柔らかくなり風味も増します。このような理由から冬の白菜が美味しくなるのです。

最近見かける「霜降り白菜」はこの原理を利用して栽培した白菜。限界まで霜を当てることで多くの甘味を引き出しているのです。とはいえ、白菜は霜が多く当たりすぎると傷んでしまうため、霜の当たり具合を見極めるのがとても大変なんだそうです。