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キュウリ – Veggiepedia

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キュウリ – Veggiepedia

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キュウリ

分類:ウリ科キュウリ属

名称:Cucumber(英)、concombre(仏)、 キュウリ(和名))

夏の代表的な野菜のキュウリ。最近は家庭菜園で栽培している人も多くなり、私達の食生活において非常に馴染み深い存在ですが、歴史的にかなり古くから栽培されているウリ科の一年生の野菜です。

主に食しているものは完熟前の若い実で、通常は長さ15~20㎝程度の水分に富んだ濃緑色の物が一般的ですが、他に薄緑色や白と緑のグラデーションのもの、白いものなどもあります。生長が非常に早く、ほんの数日で50㎝ほどの長さにまで大きくなります。熟しすぎると苦味と酸味が出るため、長さ15~20㎝ほどに育ったところで収穫されます。

実は、緑色をした瑞々しい実を食べるようになったのは比較的最近のことで、江戸時代の頃までは完熟して黄色くなった実を食していたそうです。そのため「キュウリ(胡瓜)」ではなく「黄瓜」と呼ばれていましたが、その後中国の「胡瓜」という漢字が当てられ、現在の「キュウリ(胡瓜)」になったと言われています。

現在、露地栽培よりハウスで栽培されているものが約60%と多いことから通年出回っていますが、本来の旬は夏でだいたい6月頃から9月頃までです。日本全国で栽培されていますが、主な産地は1位が宮崎県、2位が群馬県で、続いて福島県、埼玉県となっています。なお、世界的に見た生産量は圧倒的に中国が多く、全世界の約80%近くも占めていますが(日本は10位)、国民一人当たりの消費量においては日本が世界一となっています。

キュウリ

瑞々しくシャキシャキパリパリした食感が魅力的なので、やはりサラダや漬物、酢の物など生のまま食すことが多いのですが、少し育ち過ぎたキュウリなどは炒め物にも適しています。またブルガリアやトルコなどの家庭料理には、キュウリとヨーグルトと合わせたスープもあります。



歴史

キュウリの原産地については諸説あり、紀元前4000年前からメソポタミアで、という説や、または紀元前3000年前からインド西北部(ヒマラヤ山脈辺り)で、などという説があります。

いずれの説にせよ、キュウリの栽培はかなり古くから進められ、紀元1世紀の初頭にはギリシャや北アフリカ、アジアで、その後、6世紀頃シルクロードを経由して中国へ渡り、9世紀にはフランスやロシア、14世紀にはイギリス、16世紀にはドイツ、15世紀末にはアメリカへ、というように長い年月をかけて世界各地に広がっていきました。

日本に入って来た時期もかなり早く、6世紀頃には中国から渡来したと言われています。その頃のキュウリは華南系と言われる水分が少なく苦味の強いタイプで、書物に「毒多くして能無し。植えるべからず。食べるべからず。」(水戸光圀氏)、「これ瓜類の下品なり。味良からず、かつ小毒あり。」(貝原益軒氏)と記されていることから、あまり美味しいものではなく、好まれていなかったようです。

さらに、江戸時代末期から明治時代初期の頃に、シルクロードを経由して中国に伝播したキュウリが日本へ渡来してきました。それが瑞々しく甘味のあるタイプの華北系です。

その後、従来のキュウリ(華南系)とこの華北系とを交雑させて品種改良を重ねてきた結果、苦味がなくなり瑞々しさとシャキシャキっとした食感が楽しめる現在の品種が生まれました。そして、明治時代には温室栽培が始まり、昭和30年代以降にはハウス栽培が普及したことから一年中出回るようになりました。

種類

普段市場で見かけるキュウリはたいてい同じような外観をしているので種類が少ないと思われがちですが、意外と多くの種類があります。

大きくグループ分けするとキュウリの表面にある刺(イボ)が黒い品種の黒イボ系(華南系)、刺(イボ)が白い品種の白イボ系(華北系)、その他に分類されます。

白イボ系キュウリ

表面に白い刺(イボ)があるタイプのキュウリがこの白イボ系です。白イボ系は華北系とも呼ばれており、現在流通しているキュウリの約90%がこの白イボ系のキュウリです。

果皮は薄く、濃い緑色をしており、苦味が少なく、また肉質は瑞々しくてシャキシャキっとした食感があるのが特徴です。低温に弱く、6~9月頃の暑い時期に育つことから「夏キュウリ」とも呼ばれています。

シルクロードから中国華北に伝搬し、日本へは江戸時代末期から明治時代頃に入って来ました。それまでの黒イボ系キュウリに比べて味が美味しい事や、戦後サラダなど野菜を生で食べる習慣が定着してきたこと、さらに、苦味を無くすための品種改良が繰り返されて食べやすくなったことなどが理由で、この白イボ系キュウリが現在のキュウリの代表となりました。

一般的に食されているのは、「夏ばやし」や「夏すずみ」、「Vアーチ」、「Vシャイン」などの品種が栽培しやすいために多く出回っています。その他に在来種の白イボ系のとしては「四葉」、「四川」などがあります。

四葉キュウリ(スーヨー)

四葉キュウリ 中国華北系の品種で、長さは25~30㎝と一般に出回っているキュウリのおおよそ1.5倍ほどの大きさです。本葉が4枚になった頃から花芽をつけることから「四葉(スーヨー)」と命名されました。

白イボ系キュウリの一種で、表面に多くのシワとイボがあり、味が濃くて皮が柔らかく、シャクシャキっとした歯切れのよさが特徴です。生のままサラダで食しても美味しいのですが、漬けることでポリポリした食感になることから、漬物用としては最適です。

ただし表面のイボは触れると痛いほどの鋭さがあるため、キュウリの実に傷がつきやすく、また鮮度が落ちやすいため、最近ではあまり見かけなくなりました。

四川キュウリ(シセン)

四川キュウリ

「四川キュウリ」写真出典:小林種苗

白イボ系キュウリの一種で、四葉キュウリを品種改良したものです。四葉キュウリと同様、表面にシワがあり多くの細かく鋭い刺(イボ)があり、皮は薄くて柔らかく、シャキシャキっとした歯切れのよい食感があります。四葉キュウリに比べて青臭みが弱く、また長さは20~25㎝ほどと短めであることから栽培しやすくなっています。

生のままでも美味しいのですが、漬物にするとポリポリした心地よい食感を味わえます。

黒イボ系キュウリ

表面に黒い刺(イボ)があるタイプのキュウリがこの黒イボ系です。黒イボ系は華南系とも呼ばれており、苦味が強く、肉質は柔らかいのですが皮は厚めで硬く、果肉に少々粘りがあるのが特徴です。高温に強くないことから春から初夏にかけて収穫される早生種です。

もともとさほど人気のない食材であった上に、後から日本に入って来た白イボ系が一般的に好まれ、現在では一部の地域で栽培されているのみになっています。

なお、黒イボ系キュウリは日本に最初に伝来したキュウリで、インドから中国華南を経由して6世紀頃日本に入ってきました。主に江戸時代頃まで食されていましたが、この種のキュウリは、今のような瑞々しいキュウリとはほど遠い物であり、完熟して黄色くなってから食していたと言われています。

現在栽培されている主な黒イボ系キュウリは、表面の色が半分白い「半白節成り」と呼ばれるもので、「馬込半白節成り」、「相模半白節成り」などといったものがあります。

馬込半白節成キュウリ

馬込半白節成キュウリ

「馬込半白節成キュウリ」写真出典:東京都農林共同組合中央会

江戸東京野菜の一つで東京都大田区の伝統野菜です。明治30年ごろ、馬込地区で多く栽培されていた大井キュウリと瓜を掛け合わせ品種改良の結果生まれたのがこの馬込半白節成キュウリです。

名前にあるように、茎に近い上の方は淡い緑色をしていますが、先に向かうにつれて色が白くなっているのが一番の特徴です。表面には黒い刺(イボ)があり、長さは20~25㎝ほどで、白イボ系の一般的なキュウリに比べて太く、先端が丸みをおびています。皮は厚く、水分的にはやや少な目で、キュウリ独特の風味や苦味があります。肉質が柔らかいことから、ぬか漬けとして最適と古くから好んで食されていたそうです。

農地の宅地化が進んだことから、当初の地での栽培は昭和38年頃までで、現在は極一部の農家でのみ栽培されています。

相模半白節成キュウリ

相模半白節成キュウリ

「相模半白節成キュウリ」写真出典:野口種苗

神奈川県平塚の伝統野菜の一つです。昭和4年に神奈川県農場試験場で「馬込半白節成キュウリ」と「青キュウリ」を掛け合わせて品種改良した結果生まれたのが「相模半白節成キュウリ」です。

馬込半白節成りキュウリと同様に、茎に近い上の方は淡い緑色をしていますが、先に向かうにつれて色が白くなっています。大きさは18~20cmと馬込半白節成りキュウリに比べて短めです。黒イボの系統であるため表面には黒い刺(イボ)があり、一般的なキュウリより太く、皮は硬めですが、パリパリっとした歯切れのよい食感に、しっかりとキュウリ本来の味があることから、サラダや漬物に向いています。また、馬込半白節成キュウリより苦味が出にくいのが特徴です。

その他

加賀太キュウリ

加賀太キュウリ

「加賀太キュウリ」出典元:野口種苗

石川県の伝統野菜の一つで、加賀野菜としての認定を受けているキュウリです。昭和11年に石川県金沢市において東北系の短太系のキュウリの種子を譲り受けて栽培したのが始まりです。ちょうどその頃に金沢市周辺で栽培されていた「金沢節成りキュウリ」と自然交配に結果誕生したと言われています。

一般的なキュウリと比べてかなり太く、直径が610㎝ほどあります。長さは2027㎝位ですが、重量は600gほどあり、大きなものになると1kg以上になるものもあります。

肉質は柔らかく、甘みがありますが、皮は硬いので通常は剥いて食します。生のままでも美味しくいただけますが、皮と種を取り除き、あんかけや煮込みなど煮たり炒めたりするような加熱調理に向いています。

ブルームレスキュウリ

ブルームレスキュウリは品種の一つではなく、ブルームが出ないキュウリのことです。ブルームとは、キュウリの表面を覆っているロウ質の白い粉のようなものです。これはキュウリが病気や害虫、乾燥や雨などから身を守るために自然に生成される成分です。キュウリ以外にもウリ科の植物やリンゴやブドウ、ブルーベリーなどの果実の表面にも見られます。

人間が口にしても問題ないものですが、消費者がこの白い粉を農薬と勘違いして避けるようになったことから、ブルームの出ない「ブルームレスキュウリ」が開発されました。

ブルーレスキュウリは、肉質は柔らかいのですが、ブルームが出ないことから身を守るために表皮が厚く硬くなっています。しかし表面がつややかで美しいために人気が出て、現在一般的に栽培されているキュウリはブルーレスキュウリが主流となっています。

フリーダム

「フリーダム」写真出典:タネのつる新種苗店

ブルーレスキュウリの代表で、キュウリ特有の刺(イボ)がなく表面がつるつるしたキュウリです。皮は薄くて柔らかく、渋みや青臭みがなく、シャキシャキと歯切れのよい食感で、ほんのりとした甘みがあるのが特徴です。

最近ハートや星の形にデコレーションした「デコきゅう」というものを見かけることがありますが、これはキュウリの実がまだ幼いうちにハート型や星型の型にはめて成長させたもので、主に刺(イボ)がなく表面がつやつやしているこのフリーダムで作られています。

ラリーノ

「ラリーノ」写真出典:タネのつる新種苗店

2008年に発売されたまだ歴史の浅い新型のキュウリです。長さが約10㎝、太さは23㎝ほどの手のひらサイズのミニキュウリです。ちょうど食パンの幅くらいの大きさなので、サンドイッチの具材としてピッタリのサイズです。フリーダムと同様に、刺(イボ)がなく、青臭みもなく、歯切れのよい食感とほんのりとした甘みがあるのが特徴です。

ピックルキュウリ

「ピックルきゅうり」写真出典:e-taneya(三重興農社)

16世紀頃にヨーロッパで作り出されたキュウリで主にピクルス用として利用される品種です。現在はアメリカやロシアで多く栽培されています。主に黒イボ系のため、表面の刺(イボ)が黒く、形は楕円形で長さが48㎝ほどと短く、実が締まっているのが特徴です。

花丸キュウリ(花つきキュウリ)

長さ3㎝ほどのまだ幼い実のキュウリと花がついている状態のもので、品種の一つではありません。花をつけたまま収穫するため「花丸キュウリ」と呼ばれています。「花つきキュウリ」や「はなまる」と呼ぶこともあります。
同じようなもので、花も葉もついた「葉つき花つきキュウリ」もあります。どちらも、主に日本料理のあしらいや刺し身のつまとして用いられます。

もろきゅう(黒イボ)

一つの品種ではなく生食用に若採りしたキュウリで、花丸キュウリをもう少し成長させた状態で収穫したものです。本来はキュウリにもろみを添えた料理の名前だったものですが、いつしか若採りしたキュウリそのものを「もろきゅう」と呼ぶようになりました。
最近では出回ることが多くなったことから専用の品種も作られているようです。

栄養・食養

「世界で一番、栄養のない野菜」と誤解されているキュウリですが、ギネス世界記録にあるのは「Least calorific fruit」。つまり、キュウリは栄養ではなくカロリーが最も少ない野菜なのです。実際のカロリーは100g当たり14kcalほどしかなく、全体の95%以上が水分ですが、その他にはビタミン群やミネラル、食物繊維など多種多様な身体に嬉しい栄養素が含まれています。

利尿効果が高い「カリウム」

100g中200㎎とかなり含有量の多いカリウム。摂り過ぎたナトリウムを汗や尿として排出する働きがあることから高血圧や生活習慣病の予防に効果的です。

利尿効果が高いことやアルコールの代謝を促進する作用があることから、むくみや二日酔いの解消やのぼせの改善といった働きもあります。

また、体内にこもった熱の排出を促す効果にも優れており、さらにカリウムと併せて水分を多く含んでいることから夏バテの解消にも非常に効果的です。

なお、通常はカリウムを過剰摂取しても体外へ排出されるため特に問題はありませんが、腎機能が低下している場合や、腎臓に障害がある場合は注意が必要です。

脂肪分解作用のある「ホスホリパーゼ」

ホスホリパーゼは 2010年に発見された酵素の一つで、体内にたまっている脂肪を分解する働きがあると報告されています。キュウリの他にナスやキャベツなど他の野菜にも含まれていますが、キュウリに含まれるホスホリパーゼは特に脂肪の分解力が強いことが研究の結果から明らかになっています。また脂肪の排出を促進し、蓄積を抑える作用もあることから、ダイエットに効果的と言われています。

このホスホリパーゼは酵素であることから熱に弱いため、生のまま摂取することがお勧めです。より効果的に摂取する方法はすりおろすこと。酵素はすりおろすことで細胞膜が破壊されて活性化するため吸収率がアップします。ただし、空気に触れる時間ともに効果は激減するので、すりおろしてすぐに摂取することがお勧めです。


アンチエイジング効果の高い「シリカ」

シリカはミネラルの一種で、ケイ素とも呼ばれているものです。髪や皮膚、爪、骨、関節、血管、細胞壁など私たちの体内のいたるところに含まれています。

シリカの主な働きは、髪や爪を丈夫にして光沢を与えたり、コラーゲン生成のサポートや弾力や潤いのある肌作りに関与したり、骨や関節を健康に保つ手助けをしたり、などといったように老化防止や体内の修復作用に関わりがあります。

美肌作りや発毛効果も期待できると言われているシリカ。まさに、アンチエイジングのためのミネラルとして注目されています。

キュウリあれこれ

高級野菜として扱われていたキュウリ

19世紀頃のイギリスにおいて、裕福な上流階級の人々のディナータイムが遅かったことから、夕方空腹を満たすために紅茶やスコーン、サンドイッチなどが振舞われるようになったのがアフタヌーンティーの始まりです。

そしてそのアフタヌーンティーに欠かせない存在が「キューカンバーサンドイッチ」。

キューカンバーサンドイッチは、薄切りにしたキュウリをスライスしたパンに挟んだだけという極めてシンプルな物ですが、この頃イギリスにおいては、土壌でキュウリを栽培するのが非常に難しく、輸入したものか、または高い資金をかけて設備した温室栽培のものしかないことから、新鮮なキュウリは上流階級の人々のみしか口にすることができない高級食材だったそうです。また、低カロリーでお腹にもたれないことなどもあり、アフタヌーンティーの定番としてキュウリがもてはやされていたそうです。


きゅうりはビタミンCを破壊する?

キュウリにはアスコルビナーゼという酵素が含まれています。アスコルビナーゼはビタミンCを破壊するとの説がありますが、研究の結果によってそれが間違いであることがわかっています。

ビタミンCには還元型(L-アスコルビン酸)と酸化型(デヒドロアスコルビン酸)の2つのタイプがありますが、過去には還元型のビタミンCのみに生理作用があると考えられており、酸化型のビタミンCはビタミンCとしての生理作用はないとされていました。
また、キュウリなどに含まれるアスコルビナーゼは、その作用によりビタミンCが還元型から酸化型に変異させることがわかりました。つまり、酸化還元反応により還元型ビタミンCが減少したことから「ビタミンCが破壊された」と考えられていたようです。

しかし、実際のところはタイプが変化するだけで同じビタミンCであり、また、還元型に変異したビタミンCは体内で還元型に戻るという性質があるそうです。

なお、現在の日本食品標準成分表では、食材に含まれるビタミンCはこの還元型と酸化型の両タイプの総計を示すようになっています。

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