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ナス – Veggiepedia

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ナス – Veggiepedia

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ナス

分類:ナス科ナス属

名称:Eggplant(英)、Aubergine(仏)、 ナス(日本)

夏から秋にかけての時期が美味しいナス。インドが原産とされるナス科の野菜で、亜熱帯地域では多年草ですが、日本では一年草の植物です。

世界各国で色や形、大きさなど多種多様なものが栽培されており、海外では紫色ではなく白や緑色したものが一般的です。特にアメリカでは白い色のナスが主流で、見た目が卵のような形をしていることから、英語名は「Eggplant」(“たまご植物”)と付けられています。
和名の由来は、渡来した頃のナスは今と違って酸味が強かったことから「中酸実(ナカスミ)」と呼ばれていたものが「奈須比(ナスビ)」となり「ナス」になったという説や、夏に採れることから「夏実(なつみ)」が変化したという説、夏に味が良いことから「夏味(なつみ)」が変化したという説など諸説あります。
なお、現在は主に東日本では「ナス」、関西から西日本では「ナスビ」と呼ばれています。

夏野菜のため本来の旬は7~9月ですが、現在ではビニールハウスなどを用いた促成栽培なども多いことから一年中出回っています。主な生産地は季節によって異なり、7~11月の夏から秋にかけては茨城県、栃木県、群馬県などで、露地栽培されているのが主流です。12~6月のナスは「冬春ナス」とも呼ばれ、高知県、熊本県、福岡県などの暖かい地域で促成栽培されているものが主に出回っています。

味が淡白で癖がないため、どんな料理にも合います。シンプルに焼いただけの焼きナスや、煮びたしなどの煮物、麻婆茄子などの炒め物、ぬか漬けや浅漬けなどの漬物、さらには油との相性も良いため、素揚げやてんぷらなどでも美味しくいただけます。焼きナス



歴史

ナスというとイタリアやスペインなどの地中海沿岸辺り、もしくは中近東といったイメージが強いですが、意外にも原産地はインド東部と言われています。紀元前からすでに栽培されており、紀元前5世紀には東南アジアや中国、アラビア、アフリカなどに渡りました。その後中国を経て日本へと伝えられました。

日本へ入ってきた正式な時期はわかっていませんが、東大寺の正倉院に所蔵されている書物に奈良時代にはすでに栽培されていたという記録が残されていることから、奈良時代より前と言われています。また平安時代の書物には漬物の作り方までも記載されていることから、かなり古くから食されていたのがわかります。さらに江戸時代の文書である「農業全書」に「紫白青の三色あり、又丸きあり、長きあり」との記載が残されていることから、すでに多くの品種が栽培されていたようです。
また、江戸時代には初ナスはかなり高価なものとされ、賄賂に使われていたとも言われています。

それに対し、ヨーロッパへ伝わったのはかなり遅く13世紀に入ってからと言われています。その頃はまだ観賞用とされており、実際に食用として利用されるようになったのは17世紀以降だとか。今では温暖な地中海沿岸地域を中心に栽培されるようになりました。

世界中で品種改良したさまざまな品種が数多く栽培され、食されている野菜の一つとなっています。

種類

ナスの歴史は非常に長いことから、日本の全国各地にそれぞれの風土に合わせて栽培された特産品種や伝統野菜が存在するなど、数えきれないほどの多くの品種があります。色別にみると一般的な紫色のナス、白ナス、緑ナス、ゼブラナスなどが多く栽培されています。
また形ではだいたい以下の7種に分類されます。
・中長ナス
・卵ナス
・長ナス
・大長ナス
・小ナス
・丸ナス
・米ナス

中長ナス

ナス温暖な地域でも寒冷地域でも生産できることから全国各地で栽培され、現在最も市場に流通しており、特に関東圏で主流のナスです。長ナスと丸ナスの中間的な大きさのため「中長ナス」や「長卵型ナス」などと呼ばれています。長さは12〜15cmほどで長卵形(ちょうらんけい)、皮はツヤのある濃黒紫色をしています。栽培しやすく、夏の暑い間実り続けます。
品種としては「千両」、「千両二号」、「とげなし千両二号」、「竜馬」、「早生大名」などがあります。
皮、果肉とも柔らかく食べやすいため、焼き物、漬物、煮物、揚げ物などどんな調理にも向いています。

卵型ナス

関東を中心に栽培されている早生種です。主に浅漬け用に栽培されていましたが、現在は中長ナスに首位を奪われ、栽培が減少しています。
主な品種としては埼玉県の「真黒(しんくろ)」、石川健の「へた紫」、京都の「山科なす」大阪泉州の「水ナス」などがあります。

水ナス

水ナスは現在、日本各地でも栽培されていますが、もともとは大阪泉州地域で生産、消費されていた在来品種です。その名のごとく水分が多く手で絞ると水が滴るほど水々しいナスで、その分他のナスよりも重みがあります。形は卵形や長卵形で、濃い紫色をしています。品種としては「泉州絹皮水ナス」「みず茄」などがあります。通常のナスはアクが多いため生食には向きませんが、水ナスはアクが少なく、また皮も実も柔らかいため、サラダや和え物、浅漬けなど生のまま食すのがおすすめです。水ナス漬けもの

長ナス

主に西日本や東北で栽培されている長さ15〜30cm位の細長いタイプのナスの総称です。流通するのは17cmほどのものが多いです。品種としては、宮城の「仙台長」、秋田の「川辺長」、岩手の「南部長」、大阪の「大阪長」、宮崎の「佐土原」、熊本の「熊本長」などがあります。
果肉は柔らかいのですが皮が少々固めなので、漬物よりも焼きナスや、煮物、炒め物など火を使う調理に向いています。

大長ナス

長ナス長さが30センチから、長いもので45センチ近くになる細長いナスです。主に九州で栽培されている晩生種です。品種としては「博多長なす」や「庄屋大長」、「松山長」、「松山長」、「久留米長」、「庄屋大長」、「長崎長」などがあります。

果肉は柔らかいのですが、大概の大長ナスは皮が硬いため漬物にはあまり向きません。炒め物や焼きナス、煮物などに適しています。

小ナス

小茄子サイズが長さ3〜8cmほどの小さいナスの総称です。重さも10〜20g 程度。全国シェア1位を占めているのが高知の在来種の小ナスです。その他、山形の「民田(みんでん)なす」や「出羽小ナス」、新潟の「十全(じゅうぜん)」などがあります。品種により若干の違いはありますが、基本的に皮は柔らかくて実は締まっているため、丸ごと辛子漬けやぬか漬け、一夜漬けなどといった漬物に利用されることが多いです。その他、揚げ物や煮物にも向いています。

丸ナス

丸ナス丸い野球ボールやソフトボールのような形をしたナスの総称です。大きさはさまざまで1kgほどになるものもあります。関西や北陸、東北にかけて多く栽培されている晩生種です。
代表的な丸ナスとして京都の「賀茂ナス」がありますが、その他、奈良県の大和野菜の「大和ナス」、新潟の「魚沼巾着ナス」や「長岡巾着ナス」、長野の「小布施丸ナス」などがあります。
皮は柔らかく、肉質は締りがあって煮崩れしにくいのが特徴なので煮物、焼き物、揚げ物、漬物などどんな調理にも向いていますが、特に煮物がオススメです。

賀茂ナス

京都の上賀茂地域で栽培されている京都を代表する伝統野菜の一つ。直径12~15cmほどの大型の丸ナスでずっしりとした重みがあり、皮は柔らかく、実はしっかりと締まっていて歯ごたえがあります。また、へたの下が白くなっているのが特徴です。
田楽やしぎ焼きなどの焼き物の他、荷崩れしにくいので煮物にも最適です。ナス味噌田楽

米ナス

アメリカの大型品種「ブラックビューティー」という品種をもとに日本で改良されたナスです。形は日本の丸ナスに似ていますが、丸ナスはヘタの色が黒紫色であるのに対し、米ナスは緑色をしています。皮は硬め、実は引き締まっているため、煮崩れしにくいのが特徴です。
味はとても淡白で油との相性もいいため、煮物の他、揚げ物、焼き物にも適しています。形が大きいため中をくり抜いて詰め物をする使い方もオススメです。ただ、生食にはあまり向いていません。

カラフルナス

カラフルナスという品種があるわけではありませんが、近年海外で栽培されているナスの多くが日本でも栽培されるようになり、いろんな色をしたナスが出回るようになりました。
その中でも「白ナス」「緑ナス」「ゼブラナス」などが多く見かけられます。

白ナス

白ナス表面の皮の色が白いナスの総称で、形は品種によってさまざま。代表的なものに米ナスのような形の「ホワイトベル」というイタリアナスや、新潟県の長卵形をした「越後白ナス」、ひょろりと細長い形の「味しらかわ」などがあります。
一般に出回っているナスには「ナスニン」というアントシアニン色素が含まれているため皮が紫色をしていますが、白ナスには「ナスニン」が含まれていないことから表面が白いままで完熟しても紫色になりません。白ナスは皮が厚く硬いという性質をしていますが、これは「ナスニン」が含まれていないためです。「ナスニン」は紫外線から身を守る働きがありますが、白ナスには「ナスニン」が含まれていなので身を守る手段として皮が硬いのです。加熱しても形が崩れにくく果肉がトロトロになるため、ナスステーキや焼きナス、煮込み料理などに向いています。

緑ナス

緑ナス表面の皮が薄緑色をしたナスの総称で、「青ナス」とも呼ばれています。地方によっては「白ナス」と呼んでいるところもあります。代表的なものに卵型をした「翡翠ナス」、巾着型をした埼玉県の「埼玉青大丸ナス(埼玉青ナス)」というものや、細長い形をした「薩摩白長ナス」、丸型の「薩摩白丸ナス」などがあります。
皮は固いので加熱調理向きで、加熱することで果肉がトロっと柔らかくなります。ナスステーキや焼きナスなどの焼き物やソテーに向いています。


ゼブラナス

ゼブラナス表面の皮が白と紫のゼブラ柄をしたイタリアのナスです。代表的な品種が「カプリス」と呼ばれるもので、米ナスと同じような形やずっしりした重みがあります。その他にも「ローザビアンカ」、「フェアリーテイル」などがあります。
皮はやや固めですが果肉は柔らかいので、イタリアではカポナータにしたり、パスタで使われることが多いです。そのほか、田楽やナスステーキなどの焼き物にも向いています。


栄養・食養

ナスに含まれる成分のうち93%は水分で5%が炭水化物となっています。このため、ナスにはほとんど栄養がないと言われていましたが、ナスに含まれる機能性成分には優れたものが多く存在しています。

栄養

「ナスニン」

ナスニンはアントシアニン系のポリフェノールの一種で、ナスの表皮に含まれている濃い紫色の色素です。ナスのアントシアニンということから「ナスニン」と呼ばれています。
抗酸化作用が強く、活性酸素からの攻撃を予防してガン化や老化を抑制する働きがあります。特に発ガン抑制力は他の野菜と比べて高いとの研究結果があります。
 
さらに、コレステロールの吸収を抑え、血液を浄化してサラサラにしてくれるため、高血圧や動脈硬化を防ぐ作用もあります。

また、目の周りの筋肉の凝りをほぐす作用があり、眼精疲労の改善にも効果があるとされています。

ナスニンは油との相性が良く、また熱にも強いため、炒めたり揚げたりすることでナスニンが吸収しやすくなります。また表皮の部分に含まれていますので、皮は向かずに調理する事をお勧めします。ただし、水に弱いため水にさらさずに調理した方がよいでしょう。

「コリンエステル」

コリンエステルはアミノ酸から合成される物質で、人間の肝臓や副腎皮質に存在する神経伝達物質です。これが2016年に信州大学農学部での研究により、ナスにはほかの野菜の1000倍以上含まれていることが発見されました。

コリンエステルには、肝臓に脂肪が蓄積されることを防ぐ作用があることから、肝臓の働きを良くして肝機能を高める効果があり、また、血管にコレステロールが沈着することを防ぐ働きもあるため、高血圧や動脈硬化、脂肪肝などといった生活習慣病を防ぐ効果があります。

さらに、交感神経の活動を抑制する作用があるため、リラックス効果もあります。



「クロロゲン酸」

ナスの表皮や種に多く含まれているアクの成分で、ポリフェノールの一種です。緑色のナスにも含まれています。ナスを切ると表面がすぐに茶褐色に変色するのはこのクロロゲン酸の作用によるものです。

クロロゲン酸には、非常に強い抗酸化作用があり、活性酸素の働きが抑制される作用があることから、肝硬変や肝臓ガンの予防に効果があります。
その他に、血液をサラサラにしたり、血糖値の上昇を抑制、脂質の分解を促進するなどといった働きもあります。
その他にも、胃液の分泌を促進する作用もあり、夏の食欲がなく消化不良気味の時に効果的です。
水溶性のため、水にさらすと溶けだしてしまうため、調理する際はあく抜きをせずに使用することをお勧めします。

「プロテアーゼインヒビター」

ナスに含まれる物質のひとつで、主に消化器系全般に起こる炎症や痛みを緩和・鎮静する作用があります。口内炎や歯槽膿漏、歯痛、のどの痛み、胃炎、肝炎、関節炎、神経痛など、痛みを伴う症状に効果があります。

さらにその他の作用として、発がん性の物質の働きを抑制する効果もあります。

外用としての利用法

口内炎や歯槽膿漏に「ナスの黒焼き」

日本でかなり古くから伝わる民間療法です。ナスには消炎作用があると言われ、痛みや腫れを抑制することができます。

具体的には、塩漬けにしたナスのヘタを真っ黒な炭になるまで良く焼きます。それをパウダー状にして塩を加えてよく混ぜ合わせ、痛い部分に直接塗り付けることで炎症を抑えることができるといわれています。

ナスあれこれ

4月17日は「なすび記念日」

なすの記念日があることをご存知でしょうか?
冬春ナスの主産地6県に存在する組織(高知県園芸、全農ふくれん、熊本経済連、全農岡山、佐賀経済連、全農徳島)によって4月17日は「なすび記念日」として制定され、日本記念日協会で認定されました。冬春ナスは4~6月頃に温暖な南日本~西日本の6県でビニールハウス栽培されているナスで、このナスを「少しでも多くの人に知ってもらいたい。食べてもらいたい。」という思いから記念日を設けることになったようです。
ちなみに、4月17日が選ばれたのは、
・4(よ)、1(い)、7(なす)という語呂合わせ
・ナスが大好物だった徳川家康の命日
・毎年4月にナスが将軍徳川家康に献上されていた
・4月が冬春ナスの最盛期 
などといった理由からだそうです。
またさらに、2004年には毎月17日は「国産ナス消費拡大の日」として日本記念日協会によって認定されました。白ナスと長ナス


縁起物を表す「一富士二鷹三茄子」

一般的におめでたい初夢の順番とされている言葉ですが、なぜナスが縁起物の1つとされているのでしょうか?
これには諸説があり、そのうちの1つは、江戸時代に駿河の国で栽培されていたナスは苗を油紙を貼った障子で囲み、馬糞などを発酵させた熱を利用して促成栽培されていたと言われ、非常に手間暇のかかる高価なもので、とても庶民が目にすることのない貴重な存在だったから、と言われています。

また、徳川家康が隠居先として駿河の国を選んだ理由に、富士山、鷹狩りをする愛鷹山(足高山)、好物のナスがあるからだとの説があり、いずれも駿河の国での高い物(名物)であるからともいわれています。

さらには、「富士」は“無事”、「鷹」は“高い”、「ナス」は事を“成す”という演技担ぎの意味を示すともいわれています。

補足として、実は「一富士二鷹三茄子」の後には続きがあり、「四扇(しおうぎ)五煙草(ごたばこ)六座頭(ろくざとう)」と続きます。座頭とは剃髪した琵琶法師を指していて、「毛が無い」⇒「怪我無い」にかけているのだそうです。

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