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葱(ネギ) – Veggiepedia

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葱(ネギ) – Veggiepedia

分類:ヒガンバナ科ネギ亜科ネギ属

名称:green onion(英)、Welsh onion(英)、Ciboule(仏)、 ねぎ(日本)

焼いたり煮たり、揚げたり炒めたり、生のままサラダや薬味として大活躍のネギ。日本ではずいぶん古くから食されてきた食材の一つです。もともとネギ類はユリ科に属していましたが、2009年のAPG植物分類体系ではヒガンバナ科に分類されるようになりました。

暖かい地域では二年草として、北海道などの寒い地域では一年草として栽培されています。

タイプが大きく2種類に分けられ、1つが白ネギで「長ネギ」や「根深ネギ」とも呼ばれ、主に東日本で好まれています。もう1つは青ネギで「葉ネギ」や「小ネギ」とも呼ばれ、主に西日本で好まれています。

白ネギは栽培する際に土寄せと言って土を寄せてネギの下部に太陽の光が当たらないようにすることで白い部分が多くなるように育てます。

ネギは4~8月の春ネギ、7~10月の夏ネギ、10~4月の秋冬ネギと、年間通して出回っているためなかなか旬がわかり辛いのですが、白ネギと言われる長ネギの旬は冬。寒さに耐えて育つことで甘味が増して柔らかく美味しいネギになります。

それに対し、青ネギと言われる葉ネギは白ネギと比べて暑さに強いことから春から夏にかけての時期が旬です。

主な産地は関東で、1位が千葉県、2位が埼玉県、3位が茨城県。主要3県で全体の約40%を占めています。流通している時期からみる出荷量は、冬から春にかけては千葉県産や埼玉県産のものが、初夏から初秋にかけては茨城県産のものが、晩夏から秋は青森県や北海道などの寒冷地のものが多いです。

歴史

ネギの原産地は諸説あり、中国西部もしくは西シベリア南部のアルタイ地方との説が有力とされています。

紀元前に中国へ伝わり、その頃から太ネギとも呼ばれる白ネギや、葉ネギ、太ネギと葉ネギの中間的なタイプの3種が地域ごとに作られていたようです。

日本へはかなり古くから朝鮮半島を経由して伝わってきたとされており、日本書記に記録が残されていることからおおよそ8世紀ごろから栽培されていたと考えられています。

意外にもヨーロッパやアメリカへ伝わったのは遅く、だいたいヨーロッパへは16世紀末頃、アメリカへは19世紀頃とされています。しかし、ヨーロッパには古くからリーキという西洋ネギがあり、アメリカにおいても既に玉ねぎが主として使われていたことから、現在でもネギはあまり普及していません。

種類

主に東日本で好まれている「白ネギ」と西日本で好まれている「青ネギ」に大きく分けられます。

白ネギ

主に白い部分を食べる「根深ネギ」が白ネギです。一般的に「長ネギ」というとこの白ネギを示すことが多いです。栽培する際に土寄せと言ってネギの下部に土を寄せて太陽の光が当たらないようにすることで白い部分が多くなるように育てられています。

白ネギは「千住群」と「加賀群」の2種類に分類されます。

千住群

東京の千住付近(現在の荒川区と足立区の辺り)で栽培されている白ネギの代表的な品種として千住ネギがあります。その中でもいくつかの系統が存在することからそれらを総称して千住群と呼んでいます。千住群に属するネギは葉の色によって系統が分かれ、濃い緑色の千住黒柄、淡い緑色の千住赤柄、黒柄と赤柄の中間的な位置づけの千住合柄、そして黒柄と合柄の中間の千住合黒の4タイプに分類されます。いずれも加賀群に比べると白い部分がやや硬いのですが、一年を通して長く栽培されています。

グリルや炒め物、煮物や薬味などどんな料理にも適していますが、冬に収穫されたものは特に甘味が増して美味しいため、煮物や鍋料理に最適です。

代表的な品種には千住ネギ、湘南ネギ、金長ネギ、長宝ネギなどがあります。

深谷ネギ

埼玉県の深谷市で栽培されているネギの総称、いわゆるブランド名で品種ではありません。品種は千住群に属する様々な根深ネギです。関東ではネギというとこのネギを示すことが多いです。深谷市以外で栽培されたネギも「深谷ネギ」という名称で販売されているものがあることから、それらと区別するために深谷市で栽培されたものは「少し贅沢深谷ネギ」というロゴ入りで販売されています。

深谷ネギの特徴は、繊維がきめ細かく、さらに白い部分が長いこと。また、特に秋冬に出荷されるものは糖度が非常に高くて桃やミカンのようなフルーツ並みの甘味があります。

加賀群

耐寒性が強いため寒冷地で栽培されることが多く、太さがあり、分けつ(一本の茎から枝分かれすること)が少ないのが特徴です。煮込むと青い部分までとろりととろけて甘味や旨みが際立つため、煮込み料理や鍋料理、特にすき焼きに向いています。

代表的な品種には金沢一本ネギ、松本一本ネギ、下仁田ネギ、岩槻ネギなどがあります。

金沢一本ネギ

金沢一本ネギは「金沢太ネギ」とも呼ばれる加賀の伝統野菜の一つです。長野県の松本地方から入って来たものが原種とされる加賀群の根深ネギで、葉は青い部分で全体の長さは約110cm、そのうち白い部分の長さは25cmほど、茎径は2cm位です。

生育が早く、寒さや病気には強いのですが、長くて柔らかいことから風で折れやすいために栽培が難しく、生産量が減少しています。

金沢一本ネギは白い部分が分けつせず太くて長く肉質がとても柔らかいこと、ぬめりがあり甘味が多いのが特徴です。

下仁田ネギ

群馬県下仁田町の特産物で「上州一本ネギ」とか、徳川家に献上していたことから「殿様ネギ」とも呼ばれています。青い葉の部分も肉厚で柔らかく加熱するほど甘みが強くなるため、鍋料理に適した品種です。白い部分は15~20cmと短いのですが、太さは太いもので4~5㎝もあります。

松本一本ネギ

江戸時代から松本市で栽培されており、江戸へのお土産物として重宝されていたネギです。金沢一本ネギの元でもあります。寒さに強く、白い部分が太い、甘みが強いなど、加賀群ならではの特徴を持ち合わせていますが、松本一本ネギの一番の特徴は曲がっていること。これは夏の暑い時期に植えてあるネギをいったん抜いて植え替えるという作業をすることにより、かぶせた土の重みで根元が曲がるのです。このひと手間によって、より柔らかく旨みの深い味が生まれます。

青ネギ

青ネギは九条群に分類され、青い部分が長く、白い部分が短いタイプのネギです。「葉ネギ」や「小ネギ」、「薬味ネギ」とも呼ばれています。白ネギと比べ、青い部分が柔らかくて辛味や刺激臭が少なく、分けつ数が多いのが特徴です。

青ネギの代表的な品種には「浅黄系九条ネギ(九条細ネギ)」、「九条太ネギ」、広島の「観音(かんおん)ネギ」、高知の「やっこネギ」などがあります。

九条ネギ 

九条ネギは、奈良時代前半から京都の九条村付近(現在の京都市南区九条付近)で品質の良いものが栽培されていたことから「九条ネギ」と命名された京都の伝統野菜です。関西でネギとか青ネギというとこの九条ネギを示します。

柔らかくて香りも良く、また甘味が強いのが特徴です。特に冬場の九条ネギは寒さが募るにつれ、糖分が増えてゼリーのようなぬめりが葉の内側に蓄積され、甘味が増します。

九条ネギには、耐暑性が強く分けつしやすい細系の品種と、耐寒性が強く分けつしにくい太系の品種があります。

薬味としてだけでなく、ネギ焼きなどの焼き物や、すき焼きや鍋料理、酢味噌和え(ぬた)などの和え物、お味噌汁など幅広く利用できる青ネギです。

小ネギ/万能ネギ

小ネギは「万能ねぎ」とも呼ばれ、さまざまな地域ごとにブランドとして栽培されており、その代表的なものが福岡県の「博多万能ネギ」です。これは九条細ネギを若採りしたもの。その他、大分県の「味一ネギ」、高知県の「やっこネギ」、佐賀県の「うまかネギ」などがあります。いずれも直径約5mmと細いため主に薬味として使用されます。

その他

赤ネギ

赤ネギは通常のネギの白い部分の表面が鮮やかな赤紫色になっているタイプのネギです。この赤い色はポリフェノールの一種であるアントシアニンによるもの。

赤ネギの代表的なものとして、山形県庄内地域の伝統野菜「平田赤ネギ」、茨城県の三大伝統野菜の一つである「レッドポワロ―」、そして2007年に品種登録された茨城県の「ひたち紅っこ」などがあります。

平田赤ネギは加賀群に分類されており、生のままだと辛味が強いのですが、加熱することでとろみが出て辛味が甘味に変化します。レッドポワロ―は千住群に分類されており、通常のネギよりも辛味が少ないですが、やはり加熱するとさらに甘味が増します。

曲がりネギ

曲がりネギはまっすぐではなく途中で曲がった形状のネギのことで、曲がりネギという品種があるわけではありません。栽培する環境が、土が浅く、水はけが悪いかったりして、通常の根深ネギのようにそのまま土をかぶせていく栽培方法ができないため、ある程度育ったネギをいったん抜き、斜めに寝かせて土をかぶせて育てます。寝かされたネギはまっすぐ上に伸びようとするために曲がって成長していくことから「曲がりネギ」となります。寝かされてから上に成長しようとする際にストレスがかかるため、より甘みが増して美味しくなります。

曲がりネギの代表的なものとしては、宮城県仙台市の「仙台曲がりネギ(余目ネギ)」が有名で、その他秋田県の横沢地域で栽培されている「横沢曲がりネギ」、岩手県一関市の「やわらか美人」などがあります。長野県松本市の「松本一本ネギ」も曲がりネギです。

分葱(ワケギ)

分葱はネギの一種ですがネギではなく、ネギと玉ねぎを掛け合わせて作られた品種です。根元に膨らみがあるのが特徴です。ネギとは異なり、玉ねぎのように球根から育ちます。寒さに弱いため主に広島県尾道市など関西より西で栽培されています。

ネギよりも辛味が控えめで香りも優しいことから、酢味噌和え(ぬた)などで使われることが多いです。熊本県では「一文字」と呼ばれており、「一文字グルグル」という郷土料理が有名です。

なお、分葱というと関西ではこの分葱を指しますが、関東では青ねぎのことを示していることもあります。

浅葱(アサツキ)

浅葱は「エゾネギ」やヨーロッパで自生する「チャイブ」を品種改良したもので、ネギとは異なる山形県の伝統野菜で、本来は野草です。冬から春先が旬で、青ネギによく似ていますが青ネギよりも全体的に色が薄く、辛味が強いのが特徴です。主に関東から北で出回っています。ただし、栽培量が少ないことから青ネギが浅葱の代用として販売されていることもあります。

浅葱という名前は、ネギよりも色が薄いことからつけられた和名です。

芽ネギ

芽ネギはそのような品種があるわけではなく、芽吹いて間もないネギのことです。「姫ネギ」とも呼ばれています。長さ約10㎝、太さは1mmほどの極細な状態で収穫するため、ソフトな中にややシャキっとした食感があり、若いネギのさわやかで柔らかい香りと優しい辛味があります。

主な産地は静岡県と愛知県で、主に寿司ネタや椀の青味として使用されています。

西洋ネギ

リーキ(ポワロ)

日本のネギと同じネギ属に属する地中海沿岸が原産の野菜です。英語名は「リーキ」または「リーク」、フランス語名は「ポワロ―」。このため、日本では「ポワロネギ」や「ポロネギ」、「西洋ネギ」などと呼ばれることもあります。日本での生産量はまだ少なく、主にベルギーやオランダ、オーストラリアやニュージーランドから輸入されています。

見た目は下仁田ネギなどの根深ネギに似ており、白い部分は太くしっかりした円形ですが、日本のネギよりも太さがあります。青い葉の部分は硬くて筒状にはならず、平らにつぶれたような形状です。味は煮込むと非常にまろやかで甘味があり、食感もとろりとして優しいのが特徴です。主にポタージュやシチュー、マリネやグラタンなどといった加熱料理に向いています。

チャイブ

ネギの一種ですが主に風味付けなどに使用されるハーブで、フランス語名は「シブレット」。日本では「エゾネギ」や「セイヨウアサツキ」と呼ばれることもあります。北半球の温帯から寒帯にかけて広く生息しています。日本の浅葱はこのチャイブを品種改良して生まれたので、見た目は浅葱によく似ています。ネギと同じような風味を持つことから、薬味のように刻んでふりかけたりして利用されます。西洋料理では特にじゃがいもとの相性が良いため、ベイクドポテトやポテトサラダ、ヴィシソワーズなどによく使われています。

栄養・食養

ネギには白い部分と青い部分がありますが、白い部分は淡色野菜の分類に、青い部分は緑黄色野菜の分類になることからそれぞれごとに含まれる栄養素も異なります。

含まれる主な栄養素としては、白い部分には硫化アリル(アリシン)が、青い部分にはβカロテン、ビタミンC、フルクタンなどがあります。

栄養

注目すべき成分「硫化アリル(アリシン)」

長ネギの白い部分に含まれている重要な成分に硫化アリルがあります。硫化アリルは玉ねぎやニンニクなどにも含まれているあのツンとした特有の刺激や匂いのもととなる成分です。硫化アリルは、体内に入ると分解されてアリシンに変わります。ネギやニンニクなどはよく疲れた時に食べるとよいと言われますが、それはアリシンが疲労回復に効果的なビタミンB1の吸収を助け、その働きをサポートする作用があるからです。

その他、硫化アリルには殺菌や抗菌作用、抗酸化作用、血液をサラサラにして固まるのを抑制する作用、血行を促進して身体を温める作用、胃腸の消化機能を向上させる作用などの作用もあります。

ただし、硫化アリルは水溶性のため、水に溶けてしまい、また熱にも弱いため、できるだけ生に近い状態で食べることをお勧めします。辛味を抑えたいときは、カットした後しばらくはそのまま自然放置しておくとよいです。

ネギのヌルヌル、水溶性食物繊維「フルクタン」

白ネギの青い部分や九条太ネギに含まれる透明色のヌルヌルっとした粘液のような成分は通称「ヌル」や「アン」、「ヌルヌル」などと呼ばれているものですが、これは水溶性食物繊維「フルクタン」。

フルクタンは加熱しても冷凍しても効果は失われることはなく、また、乾燥していてヌルヌルがない場合でも、水分で濡らすことで復活します。

フルクタンの主な働きは、免疫細胞を活性化させることです。つまり、フルクタンによって免疫力が高められるため、インフルエンザや肺炎、ガンなどの病気を予防する効果があります。さらに、ウィルスや菌の増殖を抑制する作用もあります。

寒さが増すごとにフルクタンの量も増してくるため、ちょうど寒い冬に流行り出すインフルエンザの予防にはもってこいの野菜です。

外用としての利用法

眠れない夜に

長ネギにはイオウが含まれています。イオウには鎮静作用があることから、眠れないときに刻んだ長ネギを枕元に置いて寝るとぐっすり眠れるそうです。

風邪でのどが痛いときに

長ネギに含まれるアリシンには殺菌効果があり、さらに空気に触れることで生成される香り成分なので、風邪をひいてのどが痛むときは、切り込みを入れた長ネギを布巾やガーゼで首に巻くとよいと言われています。

ネギあれこれ

ネギの名前の由来

ネギの名前の由来は諸説ありますが、中国の古書ではネギは「葱(き)」と記されており、日本に渡来してから日本書記では「秋葱(あきぎ)」と記載されているそうです。のちに根を食すことから「根葱(ねき)」となり、現在のネギになったと言われています。

ネギの部位って?どこが葉っぱ?

ネギの白い部分が茎で緑の部分が葉と思われがちですが、実はひげのように生えているのが根、そこから先約5~10mm辺りの少し硬い部分が茎、そしてそれより先はすべて葉っぱなのです。ネギの白い部分は栽培時にあえて土をかぶせて白くしているだけなので本来は緑色の葉。正式には白い部分は葉鞘(ようしょう)と言い、根深ネギは主にこの部分を食べます。青い部分の中が空洞になっているところは葉身(ようしん)と言い、青ネギは主にこの部分を食しています。

ネギのひげ根

通常ネギのひげ根って捨てていると思いますが、実は食べられるのです。良く洗って土を落としたら細かく刻んでスープや炒め物に入れたり、素揚げ、または衣をつけて揚げたりすると大変美味しくいただけます。

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