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実践的!野菜の旬の覚え方

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実践的!野菜の旬の覚え方

実践的!野菜の旬の覚え方

旬の食材は、栄養豊富で、仕入れ値も抑えられ、そして何より美味しいですね!
季節感のあるメニューを組むためにも、個々の食材の旬を知っておくのは大事です。

とは言え、この世にゴマンと存在する食材、全部のシーズンを覚えるなんて、なかなかできません。野菜については私たち八百屋に聞いていただくと良いのですが、やっぱり新メニューを考え出そうという時には、ボンヤリとでも頭に入っている方がいいですよね。

そこで「実践的!野菜の保存法」に続く「ざっくり、でも効果的」シリーズとして、野菜の旬の覚え方をご紹介します。実は野菜に限って言うと、そんなに難しい話ではありません。いくつかのポイントを押さえれば大半の野菜をカバーできますので、見ていきましょう。

そもそも「野菜の旬」って?

しゅん【旬】

[名] 魚介類や蔬菜 (そさい) ・果物などの、最も味のよい出盛りの時期。「旬の魚」「たけのこの旬」

出典:デジタル大辞泉(小学館)

基本の法則

野菜の旬について、押さえるべき最初のポイントは

  • 多くの野菜は、発芽→成長→開花→結実(種)のサイクルを、1年に1回行う
  • 本来のサイクル(季節)で生育した野菜が一番美味しい(=旬)である

わかっている方には当たり前すぎて、すみません… 読み飛ばして次の章に進んでください。
ただ現在は、品種改良だったり、ハウス栽培だったり、輸入だったり、様々な技術の進歩により、どんな野菜でも1年中仕入れることができます。(オーガニックにこだわらなければ)
野菜の季節とか旬の話が本当にわかりにくくなっているので、ここから話を始めさせてください。

ほとんどの野菜は、発芽から結実、種・芋・球根などの形で子孫を残すという「植物としての一生」を1年に1回行います。
ただ食材として考えると「植物としての一生」を最後まで過ごせなくても「葉っぱだけ食べるから、花が咲く前に冬が来て枯れてもOK」とか、極端な場合はベビーリーフのように「発芽さえすればいいや」という事情があるので、本来の季節以外にも種播きして収穫し、年に何回も出荷されているのです。

でも野菜だって生き物、それぞれの季節に適合して自然を生き残って来た種族なわけですから、植物種の本来のサイクルで栽培した方が、当然ながら病害虫にも強く、収穫量が多く、栄養も充実して、美味しくなります。
このタイミングで収穫したものが「旬の野菜」です。

そう考えると、野菜の旬を知るというのは、植物としての元々の生態を知ることでもあります。実は、そんなにパターンは多くありませんので、覚えるのは難しくありません。
次の章から分類して見ていきましょう。

基本の補足

野菜といえば「新鮮な」と枕詞を付けたくなるくらいですが、品目によっては、長期保存可能で保存中も味が落ちないものや、一定期間以上保存した方が、より美味しくなるものもあります。
そういう野菜は、収穫期ではなく、収穫の数ヶ月後に旬が来るものもありますので、注意してください。
該当するものは、記事の中でも記載していきます。

また中には、発芽→成長→開花→結実(種)のサイクルに1年以上の時間をかける野菜もあります。
ただ、数は多くありませんし、そういうものは例外として覚えましょう。だいたいは、普段あまり目にしない野菜ですので、余力があれば覚える、ぐらいで充分です。

ついでに覚えよう

野菜の旬を知るために、植物としての本来の生態を知るのでしたら、ついでに

  • 食べているのは、植物のどの部分?
  • 収穫時期は「植物としての一生」の中では、序盤?中盤?終盤?

も見ておきましょう。そうすれば、それぞれの野菜が、年に何回、どういう季節に栽培されるか、分かりやすくなります。
そこを分かっていれば、旬の季節以外にも「この野菜は通年ある?いつ途切れる?」とか「不作で高騰してるけど、いつになったら安くなりそう?」とか見えてくるようになります。

それに「○○の旬=春」という情報だけ覚えようとするのは、まるで英単語だけを暗記するように、難しいいものです。背景やストーリーと一緒に見た方が、頭に残りますよね。

というわけで、野菜の生態と旬のお話、ここから具体的に見ていきましょう。

実物野菜

野菜の形で分類しながら、生態と旬を見ていきましょう。まずは、覚えやすい実物野菜から。

基本は夏〜秋

       

トマト、ナス、キュウリなどの「実」を食べる野菜は、簡単です。
ほとんどが春に露地に植えつけられ、夏〜秋に実が生ります。

つまり、旬は夏〜秋です。

例外の早熟タイプ:青い豆は初夏〜初秋

   

きぬさや、インゲン、スナップエンドウなどは、本来は秋に種として実る豆を、未熟な状態で食べるものです。

旬は一般的な実物より早めの初夏〜初秋です。

実(豆の鞘)が出来始めの柔らかい時期だけを食べるもので、出荷できる期間が短いのも特徴です。1ヶ月も続かない場合が多いので、出荷が始まってから味見していると、メニュー化する前にシーズンが終わってしまいます。
実績のある農家さん、卸業者を信頼して仕入れるのをオススメします。

例外の熟成タイプ:カボチャは秋〜冬

 

カボチャも他の実物野菜と同様、春に植え付けて夏に収穫しますが、収穫直後は甘みが少なく美味しくありません。
1ヶ月ほど貯蔵することでデンプンが糖に分解され、甘いカボチャになります。

長期保存が可能ですので、旬は秋〜冬です。

根物野菜

実物に続いて根物です。大きく芋類と、根そのものを食べる野菜に分けられます。
長期保存が可能ですので、美味しく食べられる期間は長いです。

芋類:基本は秋〜冬

   

根物野菜でも芋類は簡単です。里芋、長芋など多くの品目は、栽培期間が6ヶ月ぐらいと長く、春に植え、夏に成長し、秋に地上部が枯れてから、地下の芋を収穫するというサイクルです。

収穫後は、長期保存ができるので、旬は秋〜冬です。

ジャガイモは、芋類の中でも栽培期間が3〜4ヶ月と短く、暖かい地域では「早春植え→初夏収穫」と「初秋植え→年末収穫」の二期作が行われています。ただ、ジャガイモの原産地は寒い地域であり、日本では北海道で夏に栽培し、秋に収穫するものが、本来の生態に近い育ち方です。また、全国のジャガイモ生産の7割は北海道です。

よって、やはりジャガイモも、秋〜冬に旬を迎えます。

芋類:例外の熟成タイプ:サツマイモは冬〜春

サツマイモも秋に収穫しますが、収穫直後は、それほど甘くありません。貯蔵するうちに、内部のデンプンが糖に分解されて、次第に甘みを増していきます。美味しく食べられるようになるのは初冬以降です。

秋の芋掘り体験イベントなどでは、掘りたてを焼芋にしたくなりますが、少し前に掘っておいた芋を出してもらう方がいいでしょう。

旬は冬〜春です。

春まで保存されたものは、とても甘く美味しくなります。ただ、サツマイモは低温と乾燥に弱く、保存するには専用の設備が必要なため、サツマイモが得意な生産者、卸売業者から仕入れることをオススメします。

根の野菜:基本は冬〜春

      

ニンジン、大根、カブ、ビーツなど、肥大した根を食べる野菜は、栽培期間は3〜4ヶ月の品目が多く、

  • 年明けに種蒔き→初夏に収穫
  • 夏の終わりに種蒔き→冬に収穫

という二期作が一般的です。

セリ科のニンジン、アブラナ科の大根、カブ、ヒユ科のビーツ、いずれも「夏播き→秋〜冬成長→翌春に開花→初夏に種」が本来の生態であり、冬に収穫するものの方が美味しいです。

長期保存ができるので、旬は冬〜春です。

例外の玉ねぎ:品種いろいろ

玉ねぎは品種によって時期が異なり、少し複雑です。

普通の玉ねぎ:夏〜翌年春

私たちが一般的に「玉ねぎ」とイメージする茶色のものは、晩生の品種です。秋に植え、翌年の6月ごろに収穫されますが、その後に乾燥させて保存性を高めます。

市場に出回るのは、夏〜翌年春です。

新玉ねぎ、白玉ねぎ:春〜初夏

「新玉ねぎ」は、いわゆる玉ねぎとは異なる早生種です。秋に植え、4月頃に収穫できます。

水分が多いため乾燥や保存には向かず、収穫直後の春が旬です。
辛味が少なくサラダで食べやすい新玉ねぎは、春だけの楽しみです。

同じ早生種で「白玉ねぎ」という皮も真っ白な品種があります。栽培が難しいので流通量は少ないですが、辛みはほとんどなく、甘みが強いので、サラダに最適です。

赤玉ねぎ:初夏〜初秋

弊社で扱っている「赤玉ねぎ」は中生〜中晩生種です。5月から収穫され、多少の保存もできるので、夏まで食べられます。

味、食感は新玉ねぎと似ています。
彩りが美しいですが、加熱すると赤色が抜けるので、その意味でもサラダ向きです。

中生種や中晩生種には、赤玉ねぎ以外に、普通の黄色い玉ねぎもあり、初夏に出回ります。

葉物野菜

実物と根物は「基本」と少々の「例外」を覚えれば済みますが、葉物はバリエーションが多いです。それでもいくつかのパターンに分けられますので、ちょっと頑張って覚えてみましょう。

菜っ葉タイプ:冬

       

小松菜、ホウレン草、水菜など、店頭では30cmぐらいの袋で売られているものです。

本来なら高さ1m以上に成長し、花を咲かせ、種を実らせる植物ですが、私達が食べているのは、成長初期のごく若い段階で収穫したものです。
芽が出てから1〜2ヶ月で収穫できるので、露地でも真夏や真冬以外は栽培可能、ハウス栽培も入れると、ほぼ一年中、出荷されています。

植物種としての本来の姿は、秋に発芽して冬に成長し、春〜初夏に種が実るというサイクルですので、冬が旬となります。

結球タイプ

キャベツ、白菜、レタスなど玉の野菜です。

芽が出てしばらくは菜っ葉のように育ちますが、やがて葉が巻いてきて玉になります。つまり、菜っ葉タイプより生育が進んだ状態を食べている野菜です。本来の季節に栽培され、結球したものを収穫せずに少し畑に置いておくと、真ん中が割れてトウが立ち、花が咲きます。

種播きから収穫までは数ヶ月かかります(品種により差があります)

キャベツ、白菜:冬

 

キャベツ、白菜は、主に春播き、夏播きの2パターンで栽培されます。(キャベツは秋播きでも栽培されます)
本来の生態は、夏播き→初冬結球→春開花→初夏採種、というサイクルです。

旬は冬になります。

レタス:初夏

レタスは春播きと夏播きの2パターンで栽培されます。
キク科のレタスは、アブラナ科のキャベツ、白菜と異なり、春播き→初夏結球→夏開花→秋採種が本来のサイクルです。

旬は初夏です。

花芽タイプ:冬〜早春

   

菜花、ブロッコリー、カリフラワーなどです。

菜っ葉タイプ、結球タイプより、さらに生育が進んだ状態、花の蕾を食べる野菜で、それだけに栽培には時間がかかります。産地でも、露地では年に2回の栽培が限界です。主に晩夏〜秋に種播きをします。早めに播くと年末に収穫、遅めに播くと翌年春に収穫となります。
ブロッコリー、カリフラワーだと、1〜2月からハウスに播き、5〜6月に収穫するパターンもあります。

秋に発芽し、翌年春に開花、初夏に種が実るのが本来のサイクルですので、最も味が乗るのは冬〜早春に出荷されるものです。

旬は2〜3月です。

ネギ:冬〜早春

 

ネギは大きく「葉ネギ」と「長ネギ」に分けられ、育て方も栽培期間も違うのですが、植物本来の性質は似ていて、春に花(いわゆるネギ坊主)を付け、初夏に種を作ります。

旬は花の前、冬から早春までです。

暑い地域原産の葉物:夏

  

モロヘイヤ、空芯菜、ツルムラサキなどです。

原産地が熱帯などの暑い地域で、日本では夏だけ栽培できる葉物です。
品目は少なく、東南アジアや中東の料理で使われるイメージが強い野菜が多いので、覚えやすいです。

もちろん、旬は夏です。

山菜・新芽の野菜:春〜初夏

 

フキノトウ、ワラビ、タラの芽など「山菜」と呼ばれる野菜は、植物の新芽の柔らかいものだけを食べます。タケノコもそうですね。

収穫できるのは芽吹きの季節・春〜初夏だけで、旬も春〜初夏です。

アスパラガスも、食べているのは新芽の部分です。放っておくと高さ2m近く、まるで木のような形に成長します。

こちらも旬は春〜初夏です。

まとめ

最後に図にまとめてみます。

ちょっと乱暴ですが、ざっくり、こんなイメージで頭に入れておくと、覚えやすいと思いますので、ご参考になりましたら幸いです。

もちろん、旬の時期以外にも、野菜は栽培・出荷されています。
あえて旬の時期以外の野菜、たとえば辛みの強い夏大根、柔らかい春キャベツなど、その特徴を活かした料理での使い方もありますし、好みもありますので、様々な季節の味を楽しんでみてください!

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